研究課題
本研究は変形性関節炎(OA)の細胞外マトリックス分解に中心的な役割を果たす切断酵素アグリカナーゼの遺伝子発現制御にかかわるmicroRNAを統合的に解析し、作用メカニズムを明らかにすることで関節破壊への役割を示すことを目的とする。28年度は以下の研究を実施した。前年度までの研究において、機械的刺激(メカニカルストレス)とサイトカイン刺激の二つの異なる刺激に対して同様に変動するmicroRNAを確認し、さらにヒアルロン酸添加によって発現減少がキャンセルされる効果のあるmicroRNAを少なくとも6個同定し、絞り込むことに成功した。そこで、今年度はこの6種類のmicroRNAに着目して解析を実施した。まず、これらのmicroRNAはいずれもメカニカルストレスとサイトカイン刺激に予想通りの反応を示した。阻害物質を用いてmicroRNAの機能解析を行ったところ、特定のADAMTSに作用することがウエスタンブロッティングにて確認できた。次に、in vitroの系でアグリカン分解の際に生じるグリコサミノグリカン鎖の培養液中への遊離を定量的に評価する系でのmicroRNAの作用解析を行ったが、グリコサミノグリカン鎖には統計学的有意差は見られなかった。この原因として、アグリカン以外にもグリコサミノグリカン鎖を有するプロテオグリカンが発現していることが考えられ、今後の対応としてアグリカンの分解断片を特異的に検出するネオエピトープ抗体を用いた検討が必要であると結論した。本研究によって、RNAを制御するmicroRNAとタンパクを制御するエンドサイトーシスのような複雑な制御機構がアグリカン分解に関わっていることが明らかとなった。さらに、エクソソームのようにmicroRNAを内包化して他者の細胞に作用する機構も存在することから、組織での統合的な理解を行うことが必要と考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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