骨粗鬆症は多因子遺伝病であり、骨粗鬆症に関連した多くのSNPsが見出されている。骨密度と高い相関を示すSNPsについて、どのような分子メカニズムでフェノタイプの違いに結びつくのかは、遺伝的素因と病態発現機構、個別化医療の観点から極めて重要であるが、これまでのところ全く分かっていない。そこで本研究では、ゲノム改変技術と体細胞リプログラミング技術を用いて、代表的なSNPsが骨芽細胞の分化能とシグナル伝達に与える効果を比較し、上記のメカニズムの解明につなげることを目的とする。 低骨密度と相関するSNPsが異なる線維芽細胞について骨芽細胞へのダイレクトプログラミングを行い、genotype、ダイレクトリプログラミングの効率と、得られた骨芽細胞のフェノタイプと機能を解析した結果、いくつかの新しい知見を得た。さらなる解析を積み重ねることで、SNPsとフェノタイプ相違の相関とそのメカニズムの解明につながるものと考えられる。本研究の成果は、SNPsとフェノタイプの関連に新しい理解を加えるのみならず、テーラーメイド遺伝子矯正再生医療につながるものと考えられる。
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