研究課題
疼痛感受性と鎮痛薬感受性は患者ごとに大きく異なり、疼痛治療を困難にしている。そこで本研究では、(1)疾患群間で共通あるいは疾患特異的な疼痛・鎮痛薬感受性関連遺伝子多型を見出し、 (2) 関連遺伝子多型判定を用いた、患者ごとの鎮痛薬必要量や疼痛感受性を予測する数式を統計学的に構築し、改良することを目的としている。平成28年度は、第一に、平成27年度までに構築した術後鎮痛薬必要量予測式を参考に、周術期鎮痛薬必要量予測式を構築した。具体的には、研究分担者(福田)と研究協力者(林田)がDNAサンプルと臨床データを収集し、研究分担者(西澤)と研究協力者(長谷川)が多型データベースを構築した。下顎枝矢状分割術周術期疼痛管理の症例350例のデータをもとに周術期鎮痛薬必要量予測式を構築し、開腹術周術期疼痛管理の症例140例のデータにおいて検証したところ、予測値が実測値と有意に相関することを見出した。第二に、鎮痛薬必要量予測式有用性を下顎枝矢状分割術後疼痛管理において検証するため、東京歯科大学水道橋病院にて下顎枝矢状分割術を受ける患者を対象に、遺伝子検査によって鎮痛薬必要量を予測して疼痛管理を行う、テーラーメイド疼痛治療を継続した。実施は、研究分担者(福田)と研究協力者(青木、吉田)が担当した。その結果、この疼痛治療法の有用性を検証する上で必要と考えられる合計400症例以上のデータが集積された。本研究の成果は、疼痛および鎮痛薬感受性の遺伝子メカニズムの解明に繋がるとともに、テーラーメイド疼痛治療の改良、適応拡大に貢献するものである。
2: おおむね順調に進展している
術後鎮痛薬必要量予測式および周術期鎮痛薬必要量予測式の構築に成功し、他の症例での検証もなされた。さらに、術後鎮痛薬必要量予測式を用いたテーラーメイド疼痛治療を400症例(但し、内200例はコントロールとしての従来式の疼痛治療)において実施した。テーラーメイド疼痛治療の有用性を検証する上で十分と考えられる症例数が得られている。
鎮痛薬必要量予測式有用性を下顎枝矢状分割術後疼痛管理において検証するため、研究所の統計相談制度を利用し、200症例分で鎮痛薬奏効度の指標を作成して標準化し、その指標を用いて全症例を解析する。また、得られた研究成果を2017年4月のアジア神経精神薬理学会で報告し、学会で得られる助言に基づく追加解析を実施する。
2016年度に得られた研究成果を2017年4月のアジア神経精神薬理学会で報告するので、発表準備費、参加登録費、旅費、宿泊費、学会での助言に基づく追加解析の費用などが必要となったため。
繰越額609,367円は、学会出張旅費450,000円及び追加解析の物品費159,367円として使用予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (67件) (うち国際学会 30件、 招待講演 15件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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