研究課題
疼痛感受性と鎮痛薬感受性は患者ごとに大きく異なり、疼痛治療を困難にしている。そこで本研究では、(1) 疾患群間で共通あるいは疾患特異的な疼痛・鎮痛薬感受性関連遺伝子多型を見出し、(2) 関連遺伝子多型判定を用いた、患者ごとの鎮痛薬必要量や疼痛感受性を予測する数式を統計学的に構築し、改良することを目的とした。平成29年度は、平成28年度までに得られた研究成果を平成29年4月のアジア神経精神薬理学会で報告し、学会での助言に基づく追加解析を行った。第二に、鎮痛薬必要量予測式有用性を下顎枝矢状分割術後疼痛管理において検証するため、東京歯科大学水道橋病院にて下顎枝矢状分割術を受ける患者を対象に、遺伝子検査によって鎮痛薬必要量を予測して疼痛管理を行う、テーラーメイド疼痛治療を継続した。実施は、研究分担者(福田)と研究協力者(青木、吉田)が担当した。また、収集された鎮痛薬使用に関するデータを主に研究分担者(西澤)が解析した結果、テーラーメイド疼痛治療を実施した群では、従来の疼痛治療を行った群と比べて、鎮痛薬投与試行回数の分散が有意に小さいことが明らかとなった。このことは、テーラーメイド疼痛治療法により、鎮痛薬の効果が不十分で頻繁に鎮痛薬を投与しようとする患者や、鎮痛薬の効果が強過ぎて投与試行回数が少ない患者の割合が減り、平均的な投与試行回数を示す患者が増えていると考えられ、テーラーメイド疼痛治療の有用性を示すものである。一方、解析症例が多い方がより良いとの助言を学会で得られたことより、症例数の蓄積を継続している。本研究の成果は、疼痛および鎮痛薬感受性の遺伝子メカニズムの解明に繋がるとともに、テーラーメイド疼痛治療の改良、適応拡大に貢献するものである。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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