研究課題/領域番号 |
26293348
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
荒井 陽一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50193058)
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研究分担者 |
山下 慎一 東北大学, 大学病院, 助教 (10622425)
海法 康裕 東北大学, 大学病院, 講師 (30447130)
三塚 浩二 東北大学, 大学病院, 講師 (80568171)
川守田 直樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00617524)
泉 秀明 東北大学, 大学病院, 助教 (80722545)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 前立腺全摘術 / 尿失禁 / ED / QOL |
研究実績の概要 |
研究1. 前立腺全摘術後の尿失禁、勃起障害(ED)のハイリスク群の同定。平成18年から開始した臨床試験において、術前MRI画像から得られる最小残存膜様部尿道長(mRUL)が、術後尿禁制回復を予測することを見いだした。またmRULは術前の尿禁制にも関与することを明らかにした。これら研究成果について現在、論文作成中である。 研究2. 動物モデルを用いた術後の勃起機能を阻害する因子の解明および神経温存方法の確立。平成27年度のラット海綿体神経損傷モデルを用いた研究にて組織接着用シートを用いると神経損傷後の勃起機能が改善されることを見出した。さらにそのメカニズムを分子生物学的に解析し、炎症性サイトカインIL6の発現が抑制されることを明らかにした。研究成果を平成28年度の日本泌尿器科学会総会およびアメリカ泌尿器科学会総会で報告し、また論文発表した(Yamashita S, Arai Y, et al, J Sex Med. 2016;13:1448-54)。 研究3. 前立腺全摘術後のED予防法を確立させる前向き臨床試験の実施。神経温存前立腺全摘術症例を対象とした組織接着用シートの前向き臨床試験を行っており、目標症例150例のうち約3分の2を登録した。当初の登録期間を延長し、平成28年度末にて登録を終了した。平成29年度は症例追跡とデータ収集を行う予定である。 研究4. 術後の尿失禁、EDにおける仙骨表面治療的電気刺激療法の有用性の検証。平成27年度に仙骨表面治療的電気刺激を用いた動物実験で、膀胱、陰茎への血流増加作用があることを見いだし、当初の目的を概ね達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットモデルを用いた基礎的研究は、計画通りに進行し、論文として掲載された。神経温存前立腺全摘術症例を対象とした組織接着用シートの前向き臨床試験では、登録期間を1年間延長して平成28年度末までに登録を完了させた。
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今後の研究の推進方策 |
術後尿禁制を予測する最小残存膜様部尿道長(mRUL)の妥当性について、ロボット支援下前立腺全摘術症例にて検証を予定している。組織接着用シートの前向き臨床試験は登録を終了した。QOL質問票などによる1年間の追跡調査を確実に行うようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
前立腺全摘術後のED予防法を確立させる前向き臨床試験の患者登録が延長となったため、当初予定していたデータ回収、解析などの費用が未使用となった。 動物実験では神経回復の新たなモデルを作成するための準備を進めている段階で、一部未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
前向き臨床試験は平成28年度末で登録を完了した。今後、症例追跡、データ回収、解析、情報収集、成果発表などに使用予定である。術後尿禁制を予測する最小残存膜様部尿道長(mRUL)の妥当性について、ロボット支援下前立腺全摘術症例にて検証を行う予定である。 ラット海綿体神経損傷モデルを用いた神経機能回復に関してはさらに詳細なメカニズム解明を進める。 以上の計画の遂行に必要な経費として、次年度使用額を使用する。
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