研究課題
膀胱癌を始めとする尿路上皮癌ではシスプラチン不応例に対する治療法の開発が緊急の課題である。連携研究者らは膀胱癌に高頻度に高発現する新規がん精巣抗原を同定し、HLA-A2やA24と結合して、癌細胞を破壊する細胞障害性T細胞(CTL)を誘導できる9~10個のアミノ酸により構成される、短鎖ペプチド(Short peptide : SP)を同定してきた。さらに我々はこれらの中の2種類のSPを用いた膀胱癌に対する癌ワクチン療法の第I, II相臨床治験に参画し、安全性とSP特異的なCTL活性の誘導を示した。強力なCTLを誘導するにはHLA classⅡ拘束性のCD4陽性ヘルパーT細胞(特にTh1細胞)の誘導が極めて重要であるので、本研究はTh細胞に強い免疫反応を誘導する、20数個のアミノ酸により構成される、がん抗原由来の長鎖ペプチド(Long peptide : LP)を同定し、CTLを誘導する短鎖ペプチドワクチン療法と併用することにより、より効果が大きい癌免疫療法を確立することを目的とした。日本人で頻度が高いHLAクラスⅡ分子である、HLA-DR4 (DRB1*04:05)、HLA-DR9 (DRB1*09:01)、HLA-DR15 (DRB1*15:02)、HLA-DP2 (DPB1*02:01)、HLA-DP5 (DPB1*05:01)に結合すると推定される、がん抗原由来の22~29個のアミノ酸により構成されるLPsを4種類同定し合成し、LPsの免疫原性を調べたところ、健常人のヒト末梢血単核球より、がん抗原特異的なTh細胞を誘導することができた。これらのがん抗原LPで誘導したTh細胞は、 抗原刺激によりIFN-γ、TNF-α、IL-2、GM-CSFを産生したが、IL-4やIL-17はほとんと産生せす、Thl 細胞のような表現型を示した。またLPによるCTLの誘導も確認された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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