研究課題
以下の点を明らかにした。miR-144-5pはCCNE1/2の発現を抑制することにより、膀胱癌細胞における細胞分裂周期を調節していること。癌抑制型miR-145-5pのパッセンジャー鎖であるmiR-145-3pは、ともに共通の標的遺伝子として遺伝子メチル化に関与するUHRF1の発現を直接抑制すること。同様にmiR-139-5p はパッセンジャー鎖であるmiR-139-3pと共同して腫瘍間質におけるmatrix metalloprotease 11の発現を調節していること。miR-26a-5p とmiR-26b-5pは共通の標的であるPLOD2を介して、腫瘍間質のコラーゲン繊維のリモデリングに関与していること。miR-199 familyの発現高値は膀胱癌患者の予後良好の予測因子であり、インテグリンシグナルを制御して、癌抑制的に働くこと。次の段階としてin vivoにおけるナノミセル型薬物搬送システムを介した癌抑制型マイクロRNA投与実験を展開した。In-vivoにおいて癌抑制型マイクロRNAであるmiR-218を用いてナノミセル型キャリアを作成し、BOY-GFPのゼノグラフトマウスに尾静脈注射を行った。その結果、ゼノグラフト内に蛍光色素でタグ付けしたナノミセル型キャリアが取り込まれたことが確認された。ゼノグラフトを回収して、miR-218の発現量を確認すると有意に組織内における発現値の上昇を認めた。しかし、標的遺伝子の一つであるCAV2の発現は投与群に於いてはコントロール群と比べて有意な抑制が認められなかった。この原因としては、miR-218のRISCタンパクへの取り込み効率の低下や、単一のマイクロRNAでは標的遺伝子のノックダウン効果が弱いことなどが原因として考えられる。現在、違う種類のナノミセルの使用や複数のマイクロRNAによるin-vivo実験を検討中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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