研究課題/領域番号 |
26293358
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤原 浩 金沢大学, 医学系, 教授 (30252456)
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研究分担者 |
高倉 正博 金沢大学, 大学病院, 准教授 (20313661)
京 哲 島根大学, 医学部, 教授 (50272969)
服部 明 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50300893)
河崎 洋志 金沢大学, 脳・肝インターフェースメディシンセンター, 教授 (50303904)
荒木 慶彦 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70250933)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胚シグナル / 透明帯 / HCG / laeverin / 免疫寛容 / 着床 |
研究実績の概要 |
本研究従事者らはこれまで母体の免疫細胞が胚からのシグナルを受けて機能を変化させ、黄体と子宮内膜の分化を促進して胚の着床を誘導することを見出し、着床不全患者に対する自己免疫細胞を用いた治療法を開発してきた。また胚のシグナルとして透明帯およびHCGホルモンの糖鎖構造が重要であることを提言し、さらにヒト絨毛細胞が特異的に産生する細胞膜糖蛋白分子(laeverinと命名)を発見してこの分子が新しい胚シグナルである可能性を示してきた。 このような背景で、本研究では免疫系に情報伝達する胚シグナルとしてこれまで着目してきた透明帯、HCGおよびlaeverinにさらに焦点をあて、免疫細胞へのシグナルのkeyとなる糖鎖を含む分子構造を同定するとともに、それらの免疫系細胞に対する機能を解析し、自己免疫細胞療法の改善のみならず、新しい視点から着床不全に対する治療法を開発すること、さらに胚による免疫寛容誘導機構を臓器移植学などの他科領域にも応用することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度では免疫系に情報伝達する胚シグナルとしてこれまで着目してきた透明帯およびHCGのkeyとなる糖鎖を含む分子構造について解析をすすめた結果、マンノースで抑制される分子構造が重要である可能性が示された。一方で、recombinant-laeverinによってdendritic cellが活性化されること、また絨毛の器官培養中に分泌型のlaeverinが存在することが明らかとなり、laeverinが胚による免疫寛容誘導機構に関与する液生因子である可能性が示唆された。これらの成果は本研究の計画に沿った遂行を推進する知見と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年以降は、さらに透明帯およびHCGの糖鎖の免疫細胞に対する作用を明らかにし、laeverinの免疫細胞への作用および血液幹細胞に対する役割を明らかにし、さらに卵管・子宮底部から傍大動脈リンパ節への免疫シグナル伝達様式を明らかにすることを目指す。また同時に免疫細胞へのシグナルとなる透明帯およびHCGの糖鎖構造を同定し、mimicする合成ペプチドをスクリーニングし、着床不全の治療法および臓器移植での免疫寛容誘導法の開発などの臨床への応用を提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫細胞へのシグナルのkeyとなる糖鎖を含む分子構造を同定するため、糖鎖構造解析に平成26年度に予算を組んでいたが、糖鎖を含む分子構造に対する単クローン抗体作成が予定より遅れたため次年度に繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度内に糖鎖を含む分子構造に対する単クローン抗体の作成を実現してこれらの抗体を用いてHCGの分解産物を精製し、その分画の糖鎖構造解析に繰り越した額を使用する予定である。
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