研究課題
本研究従事者らはこれまで母体の免疫細胞が胚からのシグナルを受けて機能を変化させ、黄体と子宮内膜の分化を促進して胚の着床を誘導することを見出し、着床不全患者に対する自己免疫細胞を用いた治療法を開発してきた。また胚のシグナルとして透明帯およびHCGホルモンの糖鎖構造が重要であることを提言し、さらにヒト絨毛細胞が特異的に産生する細胞膜糖蛋白分子(laeverinと命名)を発見してこの分子が新しい胚シグナルである可能性を示してきた。このような背景で、本研究では免疫系に情報伝達する胚シグナルとしてこれまで着目してきた透明帯、HCGおよびlaeverinにさらに焦点をあて、免疫細胞へのシグナルのkeyとなる糖鎖を含む分子構造を同定するとともに、それらの免疫系細胞に対する機能を解析し、自己免疫細胞療法の改善のみならず、新しい視点から着床不全に対する治療法を開発すること、さらに胚による免疫寛容誘導機構を臓器移植学などの他科領域にも応用することを目指して本研究を計画した。その結果、免疫系に情報伝達する胚シグナルとして透明帯およびHCGのkeyとなる糖鎖を含む分子構造がマンノースで抑制される分子である可能性が示された。一方で、recombinant-laeverinによってdendritic cellが活性化されること、また絨毛の器官培養中に分泌型のlaeverinが存在することが明らかとなり、laeverinが胚による免疫寛容誘導機構に関与する液生因子である可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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