研究課題
1本研究では、卵巣癌の発生(発癌)やがん進展(浸潤・転移)における宿主免疫の作用メカニズムの解明と新規の卵巣癌治療を開発することを目的として、卵巣癌発生やがん進展過程における局所免疫状態の経時的変化の解析をおこなった。マウス卵巣癌腹膜播種モデルにおいて、p53, PTEN, c-MYCのがん(抑制)遺伝子変異を組み合わせた複数種の細胞株を同種同系マウスの腹腔内に接種した。そのうち腫瘍が生着した細胞株について各種遺伝子変異に基づく腫瘍局所の免疫細胞の局在を解析し、有意に変化する免疫細胞サブセットを同定した。さらに同モデルに対して抗PD-1(PD-L1)抗体投与による治療反応性および免疫反応を経時的に検討した。また一方で、がん細胞株が生着しなかった(拒絶)マウスについては、脾臓細胞やリンパ節などの免疫細胞(末梢血単核球:PBMC)を抽出し、上述の生着モデルと拒絶モデルとでの経時的な免疫サブセットおよび遺伝子発現比較解析を行い、有意に発現変化する複数の免疫因子を同定した。また一方で、仮想抗原OVAを発現するマウス卵巣癌細胞株を用いた免疫抵抗性(免疫逃避能)獲得に関わる免疫関連遺伝子探索を行った。OVA抗原を認識するT細胞をもつOT-1マウスへの繰り返し投与によって、免疫抵抗性(免疫逃避能)獲得能を有するOVA発現卵巣癌細胞株を樹立し、親株との網羅的遺伝子発現解析の比較の結果、複数種の免疫抑制因子遺伝子を抽出した。次に上述の免疫因子と相関する因子について、マウス卵巣癌細胞株に強制発現した細胞株を作成し、in vitro およびin vivoモデルでの免疫抑制機能を再確認した。さらに卵巣癌臨床検体を用いて同因子の発現を確認でき、今後の卵巣癌治療の新たな治療標的になる可能性を示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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