研究課題
卵の質が低下して発生能力が低くなった卵に対しては、若い卵から採取したミトコンドリアを含む細胞質成分を注入する方法が行われ、質が改善することが報告されている。ただし、ミトコンドリアの注入には倫理的な問題が生じるため、卵の質が低下する根本的な原因を解明して、その原因を排除することが有効な解決策である。今までの我々の研究から、テトラスパニン・ファミリーに属するCD9が精子と卵の膜融合に必須であり、CD9を含む卵由来エクソソーム(マイクロエクソソーム)に含まれるリン脂質成分に融合促進活性があることを発見した。一般的に、エクソソームはベシクル型であり、細胞間での物質輸送、特にマイクロRNAの細胞間輸送に関わる膜構造体として、ドラッグデリバリーのツールとして注目されている。一方、我々が発見したマイクロエクソソームは2重脂質層が逆転し、逆ミセル状態になっており、卵の他には排卵期の子宮内膜上皮から放出されることが明らかになっている。さらにその後の研究から、我々が同定したリン脂質(ホスファチジルエタノールアミン、PE)の特定の分子種は酸化分解されやすく、分解産物は卵に対する細胞毒性因子として作用することがわかった。PEは細胞膜の主成分として、体のどこの組織にも存在し、細胞毒性因子として作用する危険性がある。現に、病的な子宮内腔には、抗リン脂質抗体が存在することが知られている。本年度は、CD9の膜貫通領域に相当するペプチドを用いてリン脂質の細胞毒性の中和を試みた。その結果、4番目の膜貫通領域のペプチドを培地に加えるだけで、PEの卵への細胞毒性を中和できた。さらに、卵だけでなく顆粒膜細胞への細胞毒性物質の探索を行うため、不妊患者由来の顆粒膜細胞と、顆粒膜細胞由来腫瘍細胞株KGN細胞を用いて検討を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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