受精卵全能性獲得に必須の分子機序としてX染色体不活化に焦点をあてた。受精後に精子由来X染色体は不活化され、一方卵子X染色体が優先的に働く仕組みがヒストン3の9番目リジンにメチル基が3つ付加されていること(H3K9me3)を見出した。この非対称的なクロマチン状態を伴う刷込み型Xist遺伝子発現パターンが乱れると着床後早期に胚性致死に陥る。致死的精子ゲノム異常を受精卵段階でのアリルスイッチングにより生仔まで生存可能であることを初めて実証した(Fukuda A, et al. Plos Genetics 2016)。卵子の全能性獲得にはヒストン核タンパク質の化学的修飾も重要であることを見出した。
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