研究課題/領域番号 |
26293365
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
秦 健一郎 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (60360335)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エピゲノム / DNAメチル化 |
研究実績の概要 |
生殖補助医療に伴う医原性エピゲノム変異(変化)が仮に起こるとすれば、プロモーター領域よりもむしろ、遺伝子発現に影響を与えない領域のランダムなDNAメチル化変化の方が、淘汰されずに遺残する可能性がある。そこで、マイクロアレイ技術を用いた網羅的DNAメチル化解析(主にプロモーター領域を中心)とともに、次世代シークエンサーを駆使した網羅的DNAメチル化解析手法の確立を進め、Reduced Representation Bisulfite Sequencing(RRBS)法を用いた全ゲノム網羅的DNAメチル化解析手技を確立した。RRBS法は、制限酵素処理によりCpGアイランド領域を濃縮し、およそ8割をカバーする。全ゲノムバイサルファイトシークエンスと比較すると格段に低コストで、全ゲノム領域のDNAメチル化解析を行うことができる。培養条件を変えたマウス初期胚を用い、RRBS法による全ゲノム領域網羅的DNAメチル化シークエンスを行った。現在までのところ、エピゲノム変化の起きやすいホットスポットは見当たらず、ランダムな変異が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトのジェネティクスな多様性とエピジェネティックな多様性を考慮したエピゲノム異常の同定法を確立し、当初の最低限の目標は達成できた。同手技を用いて、培養条件の異なるマウス初期胚のゲノム網羅的なDNAメチル化解析を行った。これらの結果から、胚操作に伴うエピゲノム変化がランダムに起こることが強く示唆された。現在投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム網羅的なDNAメチル化解析と並行し、群間比較で同定できないようなエピジェネティックな異常を、郡内の外れ値検定(≒ゆらぎ、不安定性)を検出することで評価する測定系を確立した。すでに次世代シークエンサーで全ゲノム網羅的DNAメチル化解析を行ったデータを利用し、モデル生物初期胚の培養条件に起因するエピジェネティックな変化に関する考察を進めるとともに、更に異なる条件で培養した初期胚の解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、何度か修理しても復調しない計測機器の代替機購入を予定していたが、機関の共通機器として代替機の導入が決まり本助成金で購入する必要がなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
現在収集中の新規検体を解析する試薬代に充て、より精緻なデータで正確な知見を生み出したい。
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