研究課題/領域番号 |
26293382
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
水野 博司 順天堂大学, 医学部, 教授 (80343606)
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研究分担者 |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10365645)
飛田 護邦 順天堂大学, 医学部, 講師 (10599038)
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70509827)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管再生 / 再生医療 / 幹細胞 / 増殖因子 |
研究実績の概要 |
本年度は前年度に引き続き、ラット深下腹壁動静脈を茎とする筋膜弁モデルを用いて以下に示す研究を実施した。 Okudaらの方法に従って(Okuda T, et al, Ann Plast Surg 2010)、ラット深下腹壁動静脈を茎とする大きさ約3x2cm大の筋膜弁を作成し、同系ラット鼠蹊部脂肪塊よりあらかじめ分離精製した脂肪組織由来幹細胞(ASCs)および可溶性ゼラチンゲルに含浸させた塩基性線維芽細胞増殖因子(以下徐放化bFGF)またはその両方を種々の用量で筋膜内に複数個所に少量ずつ注入移植した。筋膜弁を再度元の位置に戻し、周辺との血行を阻害するためにシリコンシートで被覆後創閉鎖した。2,4週目に再度筋膜弁を採取して後述する各種評価を実施した。その過程において、ASCsあるいは徐放化bFGFの投与量によってはその注入容量そのものが多くなってしまい筋膜弁が膨化するなど実験結果を左右してしまうような現象も起こってしまったため十分な検体数を確保することができなかった。今後更に検体数を増やして統計解析を進めていく予定であるが、現時点で評価可能であった検体に対して①レーザードップラー血流計による血流量の評価、②走査電子顕微鏡での微小血管構造の形態的観察、③CD31、CD146、α-SMAなどに対する抗体を用いた免疫染色による再生血管の評価を実施しているところである。 更に筋膜弁主軸血管と末梢再生血管との間で起こる再生血管の“階層化”現象に対する検討に関しても上記同様、十分な検体数の確保に至っていないことから、今後さらなる検体数の増加をし、血管内皮細胞に発現する受容体型チロシンキナーゼTie2とそのリガンドであり壁細胞から分泌されるAngiopoietin-1(Ang-1)両者の発現が亢進状態にあるか、またAng-1のアンタゴニストであるAng-2の発現が低下状態にあるかどうかについてWestern Blottingで検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験モデルの作成や使用する細胞ないしは増殖因子の種類、研究サンプルの評価に関しては当初の計画とは一部異なる点もあるが、大幅な逸脱はなく推移しているものと考えている。しかしながら、上述のごとく研究サンプルの作成にやや難渋していることから再生血管の詳細な評価については予想通りに進んでいない。加えて研究代表者、研究分担者のその他の業務にかかるエフォートの増加や研究室の移転など研究業務に費やす時間の現象といった予想外のことが発生したことも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
本来であれば本年度が研究最終念であったが、上記理由から過日補助事業期間を1年間延長する申請を行い受理いただいた。次年度はこれまで同様の研究を更に創意工夫しながら研究サンプル数の増加をはかり、再生血管の成熟度評価および再生組織の“血管化”に焦点を絞って実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述したように研究室の移転や研究者の異動などによって研究業務に費やす時間やエフォートが減少した結果、試料作成や解析の遅れにつながったのものと思慮している。
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次年度使用額の使用計画 |
1年間の補助事業期間の延長を承認いただいたので、3年間で達成できなかった研究分を遂行するにあたり、残額を無駄なく効率的に使用予定である。
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