研究課題
生体は本来有するIgM自然抗体は様々な病原体成分を認識して病原体排除に寄与する。申請者らが同定した免疫細胞上のIgM受容体、Fca/mR(CD351)は病原体とIgMの複合体の取り込みを介して病原体の排除を行うと考えられているが、Fca/mR欠損マウスは盲腸結紮後穿孔による腹膜炎や敗血症性ショックモデルにおいて炎症性サイトカインと産生が減弱し、生存率の改善を示した。本研究はFca/mRを標的とした新しい敗血症性治療法の開発を目的とした。敗血症性ショックモデルにおいてLPS投与後のマウスから単離した境界領域B細胞(MZB)について定量的RT-PCR法を用いて炎症性サイトカイン産生を検討したところ、境界領域B細胞はIL-6を中心とした炎症性サイトカインを産生し、その産生量がFcα/μR遺伝子欠損マウスにおいて著明に低下していた。CD19欠損マウス由来骨髄とFcα/μR欠損マウス由来骨髄を混合して作成した境界領域B細胞特異的Fcα/μR欠損マウスは敗血症性ショックを回避して生存率が改善したことから境界領域B細胞上のFcα/μRが敗血症性ショックモデルにおいて境界領域B細胞からの炎症性サイトカイン産生を調節して炎症応答に寄与することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
Fca/mRを強発現する境界領域B細胞がIL-6 の産生を介して敗血症性ショックにおいて重要な働きをすることを示唆するデータを得た
CD19欠損マウス由来骨髄とIL6欠損マウス由来骨髄を混合して移入することによって境界領域B細胞特異的IL-6欠損を樹立し、境界領域B細胞が産生するIL-6が敗血症性ショックに果たす役割を検討する。さらに、分子生物学的手法を用いて境界領域B細胞からのIL-6産生におけるFcα/μRの関与とその分子機構を検討する。
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http://immuno-tsukuba.com/publication/english.html
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