研究課題/領域番号 |
26293383
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
本多 伸一郎 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60360640)
|
研究分担者 |
小田 ちぐさ 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50510054)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 敗血症 / 自然抗体 |
研究実績の概要 |
CD19欠損マウス由来骨髄細胞にIL-6欠損マウス由来骨髄細胞、もしくは野生型マウス由来骨髄細胞を混合して放射線照射野生型マウスへ移入することによって境界領域B細胞特異的IL-6欠損マウスおよびコントロールマウスを作成した。これらのマウスへLPSを投与したところ、境界領域B細胞特異的IL-6欠損マウスはコントロールマウスと比較して全身性炎症性サイトカイン産生が減弱し、その結果、肝障害、体温低下の改善を認め生存率が亢進した。よってLPS投与に対して境界領域B細胞から産生されるIL-6は全身性の炎症反応応答を増幅させ、生存率を憎悪させていると考えられた。 さらに境界領域B細胞からのIL-6産生に関わる分子機構を明らかにする目的でTLR4、Myd88、およびTrif各欠損マウス由来の境界領域B細胞を用いてin vivoおよびin vitroにおいてLPSに対するIL-6産生を検討した結果、境界領域B細胞からのIL-6産生はTLR4/Myd88に依存していることが明らかとなった。一方、Fcα/μR欠損マウス由来の境界領域B細胞はin vivoおよびin vitroにおいてLPSに対するIL-6産生が大きく低下していた。よってFcα/μRはTLR4/Myd88を介した境界領域B細胞からのIL-6産生に寄与していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
境界領域B細胞が産生するIL-6が 敗血症性ショックにおいて重要な働きをすること、また、その産生にFcα/μRが寄与していることを示唆するデータを得た。
|
今後の研究の推進方策 |
TLR4/Myd88を介した境界領域B細胞からのIL-6産生におけるFcα/μRの寄与について、分子生物学的手法を駆使してその分子機構を明らかにする。また、IgM存在下、および非存在下での境界領域B細胞のin vitro刺激やIgM欠損マウスへの境界領域B細胞の移入を行い、Fcα/μRのリガンドであるIgMの関与についても検討する。 Fcα/μRやIL-6に対する阻害抗体を用いて、敗血症性ショックに対する治療応用への可能性を検討する。
|