研究課題
前年度までの結果から、境界領域B細胞からのIL-6産生はTLR4/Myd88に依存しており、Fcα/μR欠損マウス由来の境界領域B細胞はLPSに対するIL-6産生が大きく低下していたことから、Fcα/μRはTLR4/Myd88を介した境界領域B細胞からのIL-6産生に寄与していることが示された。その分子機構を明らかにするため、TLR4/Myd88/MD2およびFcα/μRを強発現させた細胞株を用いて解析を行った。その結果、Fcα/μRは細胞膜貫通部分を介してTLR4と会合し、LPS刺激に伴うTLR4の重合化を亢進させ、NF-kBシグナルを増強していることが明らかとなった。実際に、Fcα/μR欠損マウス由来の境界領域B細胞はLPS刺激に対するNF-kBシグナルが減弱していた。一方、前年度までの結果から、境界領域B細胞由来のIL-6が全身性炎症反応を増幅し、マウスの生存率を低下させていることが明らかとなっていたが、その治療応用を検討する目的で、IL-6に対する中和抗体を用いた。LPS投与による敗血症性ショックモデルマウスに、LPS投与前、もしくは、境界領域B細胞から産生されるIL-6がピークを迎えるLPS投与4時間後に中和抗体を投与し、炎症反応応答やマウスの生存率を検討した。その結果、LPS投与前に抗体を投与したマウスでは炎症反応応答や生存率に変化は認められなかったのに対して、LPS投与4時間後に抗体を投与したマウスにおいては、全身性炎症応答が抑制され、生存率が著明に改善した。よって、境界領域B細胞由来のIL-6は全身性炎症反応を増幅し、マウスの生存率を低下させていることが確認され、治療応用への道が開かれたと考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol Immunol
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