研究実績の概要 |
従来のPCPS/ECMOには、装置の可搬性に乏しい、回路の準備やプライミングに時間がかかることなどといった問題点が挙げられるため、我々は緊急生命維持装置(ELSS:Emergency Life Support System)の開発を行って来た。 ELSSの構成パーツのうち、血液ポンプにおいては、人工肺や細径カニューレにおける圧損失を考慮し、流量5L/minを350mmHgまで昇圧できる性能をもつことと、溶血性能が既存のポンプに比べ同等以上であることが求められ、この2つの条件を満たせるような小型の血液ポンプとして、新しい原理をもつSequential flow pump(SFP)を開発した。2段昇圧機構により比較的低回転数で目標の揚程を得られる設計とし、インペラー内の流路パス数の最適化を実施した結果、8本パスインペラーが圧流量の目標値を3122 rpmで達成し、全効率は14.4%を達成した。 人工肺部に用いるシリコーン中空糸は均質膜であるために血漿リークが原理的に発生しないため長期使用に適しており、抗血栓性表面コーティングとして、 2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC), 3-methacryloxypropyl trimethoxysilane (MPTMSi)and 3-(methacryloyloxy) propyl-tris(trimethylsilyloxy) silane (MPTSSi)が最適であることが得られた。
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