研究課題
誤嚥性肺炎を含めた肺炎は,耐性菌の増加と人口動態の高齢化に伴い増大・重症化する傾向にある.ついに昨年度は,わが国の死因疾患トップ3が入れ替わり,肺炎が第3位となる事態が生じている.申請者は,H21~22若手研究(A)において肺炎起因菌を含めたレンサ球菌属に対する免疫システムのイメージング解析研究を開拓し,H23~25基盤研究(B)にて好中球の新たな免疫システムを解析している.好中球は,微生物感染に対して最初に作動する重要な免疫系を形成するにも関わらず,世界的に見ても研究する人口が少ない免疫細胞である.したがって,好中球免疫については統合的な解析はこれまでに無く,かつ同細胞を制御して病原微生物を排除する方法も検索されていない.そこで本研究では,過去2回の科学研究費補助金による研究で蓄積した手技とアプリケーションを用いて,「好中球免疫系の作動機序の統合的解明と細菌由来分子による好中球免疫の制御方法の検索」を行い,既存の抗生剤治療と併用可能な感染症治療薬開発の基盤確立を目指すこととした.計画の最終年度では,肺炎球菌が細菌内部にニューモリシンと呼ばれる毒素をヒトに向けて放出すために,細菌が自己溶菌することで毒素を外界へ漏出させることを示した.次いで,ニューモリシンは肺胞上皮細胞ではなく,肺に浸潤した免疫細胞である好中球をターゲットにしているを明らかにした.さらに,エラスターゼをマクロファージに作用させると,貪食作用が阻害されることも示した.これらの感染モデルから,好中球エラスターゼを阻害する血清成分や認可薬品のシベレスタット等の添加で好中球免疫系の正常化を誘導できることを提示した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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