肺炎球菌は,高齢者肺炎で主たる病原菌として知られている.その肺炎球菌には,細菌内部にニューモリシンと呼ばれる毒素が内在している.しかし,その毒素をヒトに向けて放出するポンプ装置は保有していない.そこで,本研究では,まず,細菌が自己溶菌することで毒素を外界へ漏出させることを示した.次いで,ニューモリシンは肺胞上皮細胞ではなく,肺に浸潤した免疫細胞である好中球をターゲットにしていることを明らかにした.最後に,好中球の内在性エラスターゼを阻害する薬剤により好中球免疫の恒常化を図れば,免疫機能の正常化を誘導できることも提示した.
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