研究課題/領域番号 |
26293392
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
飯村 忠浩 愛媛大学, 学術支援センター, 教授 (20282775)
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研究分担者 |
李 智媛 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教(特命教員) (70711274)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨 / 軟骨 / 形態形成 / 骨格形成 / 骨代謝 / 骨吸収性疾患 / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
本研究では、中軸骨格組織形成機構を理解するために、「椎体・椎間板の空間的配置」機構と「椎体・椎間の組織分化」機構に焦点を当て、それらに関わる重要な分子群をスクリーニング・同定することを目的とし、以下の3つの課題を明らかにして行く。 (1) 椎間板(線維軟骨)の分化を制御する分子の同定 (2) 骨格形成前駆細胞(椎間板形成細胞群と椎体形成細胞群)の空間配置メカニズム (3) 椎間板および椎体形成細胞群と周囲神経および血管発生・発達の組織間相互作用メカニズム 平成28年度は、これまでの解析基盤である「組織学的・細胞分子生物学的解析によるマイクロアレイデータValidation(検定)」をさらに充実させ、候補遺伝子のノックアウトマウスの中軸骨格の解析を進めた。その結果、幾つかのCCケモカイン・リガンド(CCL)が、椎間板の発生・発達に重要なことを見い出し、それらの一連の受容体(CCケモカイン受容体:CCR)を遺伝的に闕失したマウス(KOマウス)の椎間板に表現系があることを発見し、これらケモカインシグナルが椎体・椎間板の恒常性維持に必須であることを明らかにした。またさらに、重要な知見として、あるCCRが破骨細胞の機能発現に必須であることを明らかにした。この過程で、CCRを介した細胞内シグナル経路が細胞骨格やシーリング・ゾーンの形成に関わることを明らかにした。さらに、この分子経路が、骨粗鬆症や関節リウマチなど骨吸収性疾患に関与するらしいことも明らかにしつつある。これらの観察は、ケモカインシグナル関連分子が本研究で同定を目的とした分子群であることを分子オミクス解析で明らかにし、さらにKOマウスの表現系からこれらの解析が正しいことをValidationできたことを示していた。これらの成果の一部は、現在論文として投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の主な進捗は、一連の受容体(CCケモカイン受容体:CCR)が椎間板に表現系があることを観察し、さらに、重要な知見として、あるCCRが破骨細胞の機能発現に必須であることを明らかにした点である。この過程で、CCRを介した細胞内シグナル経路が細胞骨格やシーリング・ゾーンの形成に関わることを明らかにした。さらに、この分子経路が、骨粗鬆症や関節リウマチなど骨吸収性疾患に関与するらしいことも明らかにしつつある。これらの成果は、現在論文として投稿中であり、リバイス対応を急いでいる。本来の椎体・椎間板の分化研究からは多少フォーカスが逸脱したことは否めないが、本研究で明らかにした分子シグナルは、炎症性疾患および骨代謝疾患との関連で重要な薬剤標的シグナルであることも明らかしてきた。これらの成果は、論文として投稿し、現在リバイス対応中である、従って、概ね順調な進展だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析基盤である「組織学的・細胞分子生物学的解析によるマイクロアレイデータのValidation(検定)」をさらに充実させ、データベースかして行く。 また、現在解析中のノックアウトマウスの表現系解析の結果をより発展的に展開し、骨吸収性疾患との関連にフォーカスを当てて、さらなる研究を進める。 一方で、本来の目的である、椎体・椎間板の表現系解析も進め、中軸骨格の発生・発達および病態研究へと発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ガス混合一体型顕微鏡用培養装置(300万円相当)を購入予定であったが、学内他施設で代用設備があり、購入を見送った。また、論文作成にあたり、次年度に、遺伝子改変マウスの輸入、作成、コロニー拡大、更には解析用消耗品代の支出(250万円程度)が見込まれた為に、費用を残した。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究での主な成果は現在論文投稿リバイス対応中である。従って、本研究の継続のため、遺伝子改変マウスの輸入、作成、コロニー拡大、更には解析用消耗品代として使用する予定である。
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