研究課題
本研究では、中軸骨格組織形成機構を理解するために、「椎体・椎間板の空間的配置」機構と「椎体・椎間の組織分化」機構に焦点を 当て、それらに関わる重要な分子群をスクリーニング・同定することを目的とし、 さらに、候補遺伝子のノックアウトマウスの骨格の解析を進めた。そのうち特に進捗のあった成果として、ケモカイン受容体CCR5が破骨細胞の機能発現に必須であることを明らかにし、論文として報告した(Lee et al., Nature Communications, 2017)。さらに、本研究成果は、朝日新聞や愛媛新聞、NHKで報道された。以下、骨格系の恒常性維持と病態におけるCCR5の機能に関する知見を概説する。臨床疫学調査からHIV共受容体であるCCR5の機能低下は、リウマチのみならず骨粗鬆症に対しても抵抗性を示すらしいことが報告されてきたが、その実験医学的な裏付けは不明であった。CCR5の機能喪失による骨代謝への影響を調べた結果、CCR5の阻害薬Maravirocおよび抗CCR5中和抗体はヒト培養破骨細胞のアクチンリング形成・骨吸収活性を阻害した。CCR5KOと同腹の野生型マウスを用いた骨粗鬆症モデル実験において、KOマウスでは骨量が減少せず骨粗鬆症への抵抗性を示した。さらに、CCR5はRANKLやインテグリンを介したシグナルと共役して、破骨細胞の細胞骨格と運動性を調節すること、その際、small GTPasesであるRacおよび Rhoの活性化が重要かつ必要十分であることを明らかにした。これらの観察結果は、上記の疫学研究を裏付ける結果であり、CCR5を標的としたHIV治療が骨吸収性疾患に対してもメリットをもたらす可能性を示している。中軸骨格や関節における、上記ケモカインおよびケモカイン受容体の機能に関しては、引き続き解析を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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