乳がん、前立腺がん、肺がんなどは高率に骨に転移し、患者の転帰を悪化させる。骨は骨転移ニッチと呼ばれる肥沃な環境の構築により、骨内でのがんの増大を左右する。本研究では骨転移ニッチに応答して乳がん細胞が発現を上昇させる遺伝子が骨転移の進展に寄与すること、また骨転移に高頻度に合併し、患者および医師に多大の苦痛と困難を与える骨痛に関して、骨転移ニッチの構成要素の一つである骨細胞が知覚神経を介して骨痛を制御すること、さらにがん細胞周囲の酸性環境が骨痛誘発に関与することを見出した。これらの知見はがん患者の管理を円滑に進め、QOLの維持向上をめざす上で重要な指針となる。
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