研究課題/領域番号 |
26293398
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 教授 (80307058)
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研究分担者 |
小林 隆志 大分大学, 医学部, 教授 (30380520)
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周病 / 骨 / 細胞分化 / 歯 / マウス / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
平成26年度から27年度にかけて、歯周病で誘導される破骨前駆細胞がいかなる性質をもち、どのような組織から炎症部位に動員されるか詳細な解析を実施した。我々は、生理食塩水またはLPSを投与したマウスの骨髄、脾臓、および血液よりCD11bやc-Fmsなどの単球・マクロファージ系細胞が発現する分子を指標として細胞を分離し、それぞれの破骨細胞分化能を解析した。生理食塩水を投与したマウスでは、骨髄のCD11b+細胞は破骨細胞分化誘導因子RANKLの存在下でも破骨細胞に分化せず、CD11b-細胞が破骨細胞に分化した。我々は最終分化した破骨細胞がCD11b+であることから、このCD11b-細胞がCD11b+に変化する機序を検討するため、CD11b-細胞を骨芽細胞上で24時間培養した。その結果、CD11b-細胞はCD11b+に変化し、破骨細胞分化能を獲得したことから、骨芽細胞との接触が重要と推察された。一方、脾臓では、1週齢までCD11b+およびCD11b-ともに破骨細胞に分化したが、6週齢ではいずれも分化しなかった。即ち脾臓では、成長に伴って破骨細胞分化能を持つ細胞が減少すると推察された。血液では骨髄とは対照的に、CD11b+細胞が破骨細胞に分化し、CD11b-細胞は分化しなかった。次にLPS投与マウスを解析したところ、生理食塩水投与では分化しなかった骨髄や脾臓のCD11b+細胞が破骨細胞に分化した。従って、LPSによる免疫の活性化が破骨細胞分化能を持たないCD11b+細胞に分化能を与えたか、分化能を有する新たな細胞集団が出現した可能性が考えられる。また、破骨細胞分化に必須のM-CSF受容体を発現する細胞は、骨髄、脾臓および血液のいずれにおいても破骨細胞に分化したため、各組織の破骨細前駆細胞に共通マーカーとして有用であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
破骨細胞の前駆細胞には、脾臓系、血液系、および骨髄系が存在することを平成26度に明らかにしたことから、平成27年度は、当初の目標であった破骨前駆細胞の詳細な形質について解析することを目的とした。3種類存在する破骨前駆細胞の細胞表面マーカーを解析し、マーカーの発現レベルと破骨細胞への分化能を詳細に解析したところ、CD11bの発現と破骨細胞分化能について相関があることが明らかになった。この結果が得られたことから、当初の実験の計画に沿っておおむね順調に進展していると言える。また、当初の計画にあった、破骨細胞が異所性骨形成や骨巨細胞腫にも存在しているが、それらの前駆細胞がいかなる組織から由来しているかという課題についても現在解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、3種類の破骨前駆細胞の表面マーカーとしてCD11b以外にもさらに特異的なマーカーを探索し、それらが歯周病による骨破壊にどのうに関与しているかについて解析を実施する。また、生体内での挙動を解析するために遺伝子改変マウスを用いて細胞の移植実験を実施したいと考えている。これらの研究を推進する方策として、昨年度より講師として我が研究室に配属された根岸講師の協力を得ることとした。根岸講師は破骨細胞の分化を分子レベルで解析することができる専門家であり、本研究の推進力として期待できる。また、本年度より我が研究室に配属された茶谷助教の協力を得ることとした。茶谷助教も破骨細胞研究の専門家であるが、メダカを用いた細胞レベルの解析を持っており、本研究に新たな推進力が加わった。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験動物に薬物を投与する実験を実施する予定であったが、投与する薬物(約25万円分)が販売会社の在庫切れで購入できなかったので次年度に繰り越して購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に在庫切れで購入できなかった薬物の購入に用いる。
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