研究課題/領域番号 |
26293399
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
三浦 雅彦 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10272600)
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研究分担者 |
林 良雄 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (10322562)
吉村 亮一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40302864)
戒田 篤志 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40632097)
岡本 裕之 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (90595729)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小線源治療 / 口腔癌 |
研究実績の概要 |
本年度の目的は、物理的吸収線量の検討の継続と、昨年度RI センター閉鎖によって進められなかったI-125シードを用いて、in vitroでの細胞周期動態を検討することであった。BrachyVisionというソフトを用いて、まず、Au-198グレイン1個を厚さ1.3mmのプラスチックシャーレの下面に設置し、シャーレ上に培養した癌細胞への吸収線量をシミュレーションした。一方、昨年度の検討から、6日間でAu-198グレインと同等の線量を得るためには、市販されている15MBq I-125シードを用いると約10倍量必要であることがわかった。そこで、I-125シードを5個ずつ2列に配置して、BrachyVisinによって吸収線量のシュミレーションを実施した。Au-198グレインの分布と比較すると、シードが平面的に広がった分、線量の最大値を示す位置が中央からややずれ、最大値もかなり低くなることが判明した。Au-198グレインの線量分布に近づけるためのI-125シードの配置に関する検討が必要であると思われる。生物実験は、舌癌細胞株SAS、HSC3、HSC4にFucciプローブを発現させた細胞株を用いて行った。先に述べた様にそれぞれの細胞を培養したシャーレの底面にI-125シードを5個ずつ2列に配列して77時間まで培養し、Fucciの蛍光によって、細部周期動態の検討を行った。その結果、いずれの細胞も24時間位までに線源周囲で緑色細胞が蓄積したが、その後は異なる動態を示した。すなわち、SASではその後細胞死が起こり、細胞密度の低下が認められた。HSC4とHSC3では、赤色細胞への移行と緑色細胞の持続的蓄積がそれぞれに認められた。いずれも特色のある動態であり、Au-198グレインでも同様な動態が認められるかを来年度に確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、ラジオアイソトープセンターが半年以上に渡って閉鎖される事態に見舞われたが、本年度はI-125シードを用いたアイソトープ実験はできたものの、Au-198グレインの使用認可がまだおりておらず、Au-198グレインによる実験ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、シミュレーションによる線量分布について、さらに検討を加え、腫瘍標的として直径2cm、高さ2-3mm の円柱を想定し、Au-198グレインを9個配置した時のそれにできるだけ近づけられる様なI-125シードの配置を求める。さらに、Au-198グレインによる培養細胞を用いた実験を実施して、今年度に得られたI-125シードによる舌癌細胞株3種の結果と比較検討する。最終的に、ヌードマウス移植腫瘍に対する効果を、FucciによるG2アレスト動態によって両アイソトープの効果を比較し、臨床応用の可能性について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラジオアイソトープセンターでのAu-198グレイン使用認可取得が遅れているため、Au-198グレインが使用できなかった。そのため、アイソトープの使用に予定していた額を平成28年度に繰り越している。
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次年度使用額の使用計画 |
Au-198グレインの使用認可が得られた時点で、遅れを取り戻すべくAu-198グレインを用いた研究を進める。
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