研究課題
粘膜組織における細菌感染による慢性炎症の誘発・持続には、ヘルパーT (Th) 細胞が重要な役割を果たし、特にTh1やTh17細胞などの炎症性細胞が病態悪化に関わっている。一方でこれら炎症性細胞に対し、炎症を抑制する細胞も誘導され、行き過ぎた炎症性細胞の活動を抑制し、炎症反応を終息させるように働く。粘膜組織における炎症抑制には、抑制性サイトカインであるIL-10が深く関わっていることから、IL-10を産生するFoxp3陰性Th細胞(Tr1細胞)の分化制御機構を明らかにすることが重要であると考えられる。これまでにin vitroにおいて、IL-27によるTr1分化がPI3K阻害剤によって抑制されることを見出した。また逆に、PI3Kの下流分子であるAktを活性化できる細胞を用いてTr1細胞を分化すると、Tr1分化の割合が上昇することを確認した。すなわち、PI3K-Akt経路によってTr1分化が正に制御されることが明らかになった。また、昨年度作出したTr1細胞をフローサイトメーターで見分けることのできるマウスを用いて、in vivoでTr1分化におけるPI3Kの関与を検討した。すなわち、マウスに抗CD3e抗体を投与して3日後に誘導されるIL-10産生Th細胞の割合を調べたところ、PI3K阻害剤を同時投与することによって有意に抑制された。以上の結果から、in vitroおよびin vivoのいずれにおいても、PI3KがTr1分化を正に制御することが明らかとなった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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