研究課題/領域番号 |
26293404
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 正寛 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40215562)
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研究分担者 |
福本 敏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30264253)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30379078)
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 再生医療 / 結合組織疾患 / 細胞外マトリックス / マルファン症候群 / 歯周病 / 創薬開発 / マウスモデル / 微細線維 |
研究実績の概要 |
本研究では、遺伝性歯周炎の病態解明と、新規治療技術の開発を目的としている。そのため、MFの口腔内より採取した細胞から(MF derived iPS cell:MiPS)を樹立とその品質管理および細胞バンク化を行い、同時に歯根膜細胞へ分化誘導して、「微細線維再生モデル」の構築と創薬開発を行う。この目的に、微細線維形成誘導能を有するADAMTSL6β由来のペプチドを用いて、微細線維再生製剤の開発を行う。またマルファンモデル動物を用いた遺伝性歯周炎の前臨床研究にて検証する。従って本研究は、MiPSの樹立技術を確立し、微細線維再生する新規バイオ製剤を開発し、遺伝性歯周炎の治療技術の開発を目的にしている。今年度の研究計画に関して、ADAMTSL6βのマルファン症候群に対する治療効果を確認するため、マウスモデルを用いて実験を行った。治療計画のデザインに関しては、ADAMTSL6βの過剰発現マウスを作製し、マルファンモデル動物であるC1039Gと交配した。その結果、マルファン症候群でみられる微細線維の形成不全は改善された。しかし長期飼育するとさらに結合組織の崩壊の促進が観察された。組織崩壊のメカニズムを解析すると、ADAMTSL6βを過剰発現させるとADAMTSメタロプロテアーゼの活性が促進し、Versicanという結合組織の維持に働く細胞外マトリックスの分解の促進が観察された。このことからADAMTSL6βはマルファン症候群の原因である微細線維の形成を誘導するばかりで無く、逆に細胞外マトリックスの破壊にも関わる事が判明した。これらの結果よりADAMTSL6βに関して、組織破壊に関わるドメインを欠失させて変異体を用いた技術開発の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究ではiPS細胞を用いてマルファン症候群に対する新規治療薬の開発を行っている。研究計画当初はiPS細胞を用いての創薬ターゲットの探索を行う事を予定していたが、マルファン症候群モデル動物を用いて、創薬ターゲットのADAMTSL6βの治療効果を確認することが出来た。本年度の成果で、マルファン症候群モデル動物内で微細線維形成能力を有していることを確認出来た。また次年度予定している機能ドメイン決定も前倒しで着手することができたので、研究計画は当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策として、ADAMTSL6betaを微細線維再生薬として開発研究を進めていく予定である。計画は以下のように進める予定である。 a) 微細線維再生製剤の開発 :ADAMTSL6βアミノ酸配列に由来する組換えタンパク質を作製し、fibrillin-1への結合能力および微細線維形成能力で判定する。 b) 微細線維検出システムの構築:a)で行うスクリーニングを行うため、微細線維の主成分であるfibrillin-1を検出するモノクローナル抗体を用いてDAMTSL6βペプチドのスクリーニングを行う。 c) マルファン症候群由来細胞に対する微細線維再生製剤の効果 平成25年以降でスクリーニングした微細線維再生製剤の中から、マルファン症候群由来細胞から誘導した間葉系細胞を用いて微細線維再生能力を有する製剤を選別する。MiPS由来間葉系細胞に対する微細線維再生効果の解析は、fibrillin-1抗体による免疫染色にて判定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費で購入の遅れた消耗品(生化学実験に用いるプラスチック器具)があり、そのため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
組換えタンパク質産生および精製に関わる生化学用の消耗品として4月中に使用する
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