研究課題/領域番号 |
26293408
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
魚島 勝美 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50213400)
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研究分担者 |
青柳 裕仁 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30460140)
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
長澤 麻沙子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40612239)
秋葉 陽介 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70547512)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 骨質 / コラーゲン / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / クロスリンク |
研究実績の概要 |
平成26年度はコラーゲンクロスリンクが骨芽細胞に与える影響および破骨細胞に与える影響をin vitroで検索した。前骨芽細胞株(MC3T3-E1)をクロスリンク阻害剤であるβ-aminopropionitrile (BAPN)存在下にて2週間培養し、クロスリンクの異なるマトリックスを作製した。細胞成分を除去した後にMC3T3-E1または前破骨細胞株(RAW264.7)を播種し、それぞれの分化能を評価した。さらに4週齢のC57BL/6JマウスをBAPN含有飼料またはコントロール飼料にて8週間飼育し、クロスリンク形成不全マウスを作製した。通常飼料に戻した後、一定期間後に屠殺し、大腿骨および全血を採取して、micro-CTによる骨形態計測、血清骨代謝マーカーの解析を行った。 BAPNの添加によりマトリックス中のクロスリンク量(Pyridinoline, Deoxypyridinoline)は濃度依存的に減少することがHPLCによる解析にて確認された。クロスリンクの低下したマトリックス上におけるMC3T3-E1のMTS活性およびALP活性は上昇し、Runx2/Cbfa1およびAlplの遺伝子発現上昇が認められた。RAW264.7においてはBAPNの濃度依存的にTRAP陽性細胞、Cathepsin K陽性細胞数ともに減少が認められた。クロスリンク形成不全マウスにおいて、骨量の変化は認められなかったが、クロスリンク量の減少がHPLCによる解析にて確認された。BAPN摂取群において、血清中の骨形成マーカーであるOsteocalcinの変化は認められなかったものの、骨吸収マーカーであるTRACP-5bでは増加が認められた。以上よりコラーゲンは骨の機械的特性を維持する構造としてのみならず、骨芽細胞、破骨細胞の分化に影響を及ぼすことにより、骨代謝に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、コラーゲンのクロスリンクに変化をもたらす方法として、LH遺伝子に対するsiRNAを使用する予定であったが、培養骨芽細胞に対してBAPNを作用させることにより、クロスリンク量の少ないコラーゲンマトリックスを作製することができた。これを用いて、クロスリンク量の減少が骨芽細胞や破骨細胞の分化に与える影響を検索することができた。また、これら成果は複数の学会において発表した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの結果をin vivoで検索すると共に、クロスリンク量が減少した骨を用いた移植実験を行い、コラーゲンクロスリンクが骨代謝に与える影響を実際の生体を用いて検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の使用量が予想されていた量より少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
主に消耗品の購入に充てる予定である。
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