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2016 年度 実績報告書

歯への機械的刺激の中枢伝達メカニズム -咬合感覚違和感患者の治療法開発に向けて-

研究課題

研究課題/領域番号 26293412
研究機関徳島大学

研究代表者

松香 芳三  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90243477)

研究分担者 小川 匠  鶴見大学, 歯学部, 教授 (20267537)
山本 由弥子  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20403496)
丸濱 功太郎  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60712792)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード歯根膜感覚 / 咬合違和感 / PET/CT / ボツリヌス毒素
研究実績の概要

本研究では咬合違和感を訴える患者に対する治療開発をすることを将来的な最終目標としている。今回の研究では、歯に刺激を加えた時の神経活動情報伝達の様相を解明し、ポツリヌス毒素(BoNT)投与による効果を解明することである。
ラットの小臼歯を機械的に刺激して、脳の活動部位を18F-2-フルオロー2-デオキシーDーグルコース(FDG) を用いて放射線断層撮影法(PET)により計測した。イソフルレン麻酔下のラットに対し、電気的フォンフライ装置を用いて刺激強さを計測しながら、上顎右側小臼歯を刺激した。歯の刺激前にはFDGを美静脈から注射し、100、200、300gの強さで刺激した。脳PET画像は脳を4分割(右上、左上、右下、左下)して、FDG集積のピーク値を計測したところ、右下部において、300gの刺激は100、200gの刺激よりもFDGのより多くの集積が観察された。また、感覚部位、運動部位、海馬、三叉神経節、脊髄に分類して観察したところ、三叉神経節と感覚部位においてFDGのより多くの集積が観察された。
また、眼下窩神経を緩く結集し、神経刺激したラットでは顔面部の機械刺激閾値の低下が観察された。感覚神経節へのBoNT直接投与後には閥値の回復を認め、神経情報伝達を抑制する可能性が考えられた。さらに、三叉神経刺激後には三叉神経節内のサテライトグリアの興奮が観察されるとともに、神経節細胞内でのサイトカイン(IL-2)の増加が観察された。これは、神経刺激により興奮したサテライトグリアからサイト間が遊離され、神経節細胞内に移動したことを示している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ラットの小臼歯を機械的に刺激して、脳の活動部位を18F-2-フルオロー2-デオキシーDーグルコース(FDG) を用いて放射線断層撮影法(PET)により計測した。イソフルレン麻酔下のラットに対し、電気的フォンフライ装置を用いて刺激強さを計測しながら、上顎右側小臼歯を刺激した。歯の刺激前にはFDGを美静脈から注射し、100、200、300gの強さで刺激した。脳PET画像は脳を4分割(右上、左上、右下、左下)して、FDG集積のピーク値を計測したところ、右下部において、300gの刺激は100、200gの刺激よりもFDGのより多くの集積が観察された。また、感覚部位、運動部位、海馬、三叉神経節、脊髄に分類して観察したところ、三叉神経節と感覚部位においてFDGのより多くの集積が観察された。
また、眼下窩神経を緩く結集し、神経刺激したラットでは顔面部の機械刺激閾値の低下が観察された。感覚神経節へのBoNT直接投与後には閥値の回復を認め、神経情報伝達を抑制する可能性が考えられた。さらに、三叉神経刺激後には三叉神経節内のサテライトグリアの興奮が観察されるとともに、神経節細胞内でのサイトカイン(IL-2)の増加が観察された。

今後の研究の推進方策

1.ヒト臼歯部を刺激した時の脳活動部位の探索。ヒトの上顎小臼歯を機械的に刺激し、脳活動部位を近赤外分光法を用いた脳活動測定装置を用いて行う。
2.三叉神経刺激による神経伝達メカニズムの解明。三叉神経上顎枝である眼下窩神経を緩く縛ることにより、機械的な刺激を加え、三叉神経節での神経伝達物質の遊離を観察する。この時、サテライトグリア細胞からのサイトカインの遊離を中心に観察する。

次年度使用額が生じた理由

ヒトを対象とした歯を刺激して脳活動計測を行う研究が本来の計画よりも少し遅れたため。

次年度使用額の使用計画

ヒトを対象として歯を刺激して脳活動計測を行う研究におけるサンプル数が噌加したら、記録用ハードディスクを購入する。
また、ラットの神経刺激を行い、神経伝達物質の遊離計測を継続する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Florida University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Florida University
  • [雑誌論文] Japan Prosthodontic Society position paper on “occlusal discomfort syndrome”2016

    • 著者名/発表者名
      Tamaki K, Ishigaki S, Ogawa T, Oguchi H, Kato T, Suganuma T, Shimada A, Sadamori S, Tsukiyama Y, Nishikawa Y, Masumi S, Yamaguchi T, Aita H, Ono T, Kondo H, Tsukasaki H, Fueki K, Fujisawa M, Matsuka Y, Baba K, Koyano K
    • 雑誌名

      Journal of Prosthodontic Research

      巻: 60 ページ: 156-166

    • DOI

      10.1016/j.jpor.2015.11.002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] スプリントによる睡眠時ブラキシズムに対する治療効果 : 予備的検討2016

    • 著者名/発表者名
      大倉一夫,鈴木善貴,重本修伺,大本勝弘,葉山莉香,岩浅匠真,福本美緒,井上美穂,上枝麻友,安陪晋,松香芳三
    • 雑誌名

      日本口腔リハビリテーション学会雑誌

      巻: 29 ページ: 21-27

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preliminary study of neural excitation with positron emission tomography after tooth mechanical stimulation2016

    • 著者名/発表者名
      Omoto K, Iwasa T, Afroz S, Ueda M, Okura K, Matsuka Y
    • 雑誌名

      Journal of Japanese Association of Oral Rehabilitation

      巻: 29 ページ: 28-34

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 下顎運動軸の3次元的検討2016

    • 著者名/発表者名
      重本修伺, 平井真也, 井川知子, 田島登誉子, 松香芳三, 小川 匠
    • 学会等名
      日本歯科医学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2016-10-21 – 2016-10-22
  • [学会発表] 咀嚼能力の総合的な解析に向けた生体信号と食塊粒度の同期記録法の検討2016

    • 著者名/発表者名
      福永温句, 重本修伺, 大本勝弘, 田島登誉子, 宮本裕司, 皆木省吾, 松香芳三
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会
    • 発表場所
      石川県立音楽堂(石川県金沢市)
    • 年月日
      2016-07-09 – 2016-07-10

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-02-16  

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