研究課題/領域番号 |
26293414
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00294570)
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研究分担者 |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90258418)
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨再生 / 顎骨増生 / 血管再生 / 間葉系幹細胞 / 顎堤増生 |
研究実績の概要 |
骨増生には血管誘導をはじめとする脈管系の再生が必要である。マウスでの実験系の確立はその後の解析に有利であるため、本年度はまずマウスの骨および骨髄から得られるMSCのキャラクターについて分析した。マウス骨髄から、骨髄フラッシュ細胞(Flush)、コラゲナーゼ消化された細胞(Digestion)、コラゲナーゼ消化後の骨片からOutgrowthした細胞(Chip)の3種類の方法でMSCを培養したが、Digestion細胞は骨分化状態が不安定である一方、Flush細胞およびChip細胞からは、コンスタントにMSC様細胞の培養に成功した。これらの細胞の表面抗原をFACSで解析すると、CD45陽性率が高いことが判明したため、CD45陽性細胞をMACSシステムで除去した。さらにCD45陰性細胞群は確実に骨分化したことから、来年度はCD45陰性細胞を用いてマウスでの骨増生モデルにおける脈管系の解析に移る。一方、市販されているヒトのMSCと血管内被細胞(HUVEC)を用いて細胞老化における互いの脈管形成に与える相互作用についても解析した。その結果、ヒトMSCを繰り返し継代すると骨分化能が低下するのみならず、SDF-1の発現が低下した。一方HUVEVCも継代繰り返しによりSDF-1のレセプターであるCXCR4の発現が低下し、VEGF、 bFGFの発現も低下した。つまり、MSCは老化によって骨分化能が低下するが、ホストにおいても血管内皮細胞の老化によって血管新生因子の発現が低下し、血管新生能が低下すると考えられる。さらに、老化したMSCでは細胞遊走因子のSDF-1の発現が低下し、血管内皮細胞においてはSDF-1のレセプターのCXCR4の発現が低下するため、老化したMSCを骨増生部位に移植しても効果的に血管誘導が行えないことが、骨再生の低下につながる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスでの培養系を確立し、以降の研究をスムーズに進められる。またMSCの細胞老化による血管内皮細胞の管腔形成能等の機能の衰えについての機構を解明したため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新たに加わった大学院生にも協力してもらい、マウスへの移植実験を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費を節約して購入したことと、技能補佐員の人件費を抑制したことによって次年度に予算を繰り越すことができた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分と合わせて、動物実験によって回収される組織評価に対して、新たな抗体を購入して多方面から組織標本を解析する。
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