研究課題/領域番号 |
26293414
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
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研究分担者 |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90258418)
朝比奈 泉 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30221039)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨増生 / 顎骨増生 / 血管再生 / 間葉系幹細胞 / 顎堤増生 |
研究実績の概要 |
昨年度、我々は加齢による骨再生能低下のメカニズムを解明するために、間葉系幹細胞および血管内皮細胞を長期培養することで細胞老化を誘導し、老化によって起こる骨再生能の低下には、間葉系幹細胞自体の機能低下(増殖能低下、骨分化能低下)と、血管新生誘導効果の低下の両面によって起こる可能性を見出した。そこで、今年度は老化マウス(20か月齢)と若年マウス(8週齢)から間葉系幹細胞を採取し、老化による間葉系幹細胞の機能変化について評価を行った。老化マウスおよび若年マウスから採取・培養された間葉系幹細胞は、細胞表面抗原発現には両群で差は認められなかったが、細胞増殖能、骨分化能が有意に低下することが確認された。現在、各群での血管新生因子および細胞遊走因子発現について解析中である。 また、脈管系(血管・リンパ管)誘導因子による骨増生効果の確認を行うために、リンパ管新生因子であるVEGF-Cによる間葉系幹細胞の骨分化促進効果について検討を行った。VEGF-Cの添加によって間葉系幹細胞の石灰化が促進することが明らかとなり、骨分化マーカーであるAlkaline Phosphatase、Type I collagen、Osteocalcin遺伝子発現の上昇も確認された。またVEGF-Cの添加によって間葉系幹細胞の骨分化に重要な転写因子であるRUNX2発現が上昇することも確認された。VEGF-Cが間葉系幹細胞の骨分化を促進することが見いだされ、さらにVEGF-Cは強力な脈管新生作用を有していることからも、骨組織再生においてVEGF-Cの投与が効果的な治療法になる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
老化マウスからの間葉系幹細胞の培養にも成功し、当初の予定通り老化マウスと若年マウス由来間葉系幹細胞の機能解析が進んでいること。また、今年度はリンパ管新生因子であるVEGF-Cが間葉系幹細胞の骨分化を促進することが見いだされ、その機序の一部を解明できたため。
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今後の研究の推進方策 |
老化による骨再生に関する課題については、老化マウスと若年マウスから採取・培養された間葉系幹細胞をマウスに移植を行い、骨増生能と血管新生能の評価を行う。 また、VEGF-Cによる間葉系幹細胞の骨分化促進効果に関する課題については、骨分化促進の分子メカニズムを解明し、さらにマウス骨欠損モデルへの移植による効果判定を行う。 さらに、生体内に移植した際に確実に骨形成効果を示す間葉系幹細胞を選別することを目的として、ヒトおよびマウス由来間葉系幹細胞を用いて、細胞表面抗原であるLEPR, CD140a等の発現パターンとin vitroでの骨分化能、生体内での骨形成能との相関性について評価を行う。また、間葉系幹細胞から分泌される血管新生関連サイトカインをプロテインアレイによって網羅的に解析を行い、サイトカイン分泌量と種類の違いにより、移植した際の血管誘導能と骨形成効果のパターニングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は人件費・謝金の必要経費を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越すことができることになった予算を物品費として使用し、研究充実を図る。
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