| 研究課題/領域番号 |
26293418
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| 研究機関 | 東北大学 |
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研究代表者 |
島内 英俊 東北大学, 歯学研究科(研究院), 名誉教授 (70187425)
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| 研究分担者 |
佐藤 秀明 東京都市大学, 工学部, 准教授 (00196263)
真柳 弦 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10451600)
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40261523)
根本 英二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40292221)
金谷 聡介 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80375097)
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| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | Diamond like coating / インプラント / インプラント周囲炎 / 純チタン / 強化型ＤＬＣ / 掻爬耐久性 |
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| 研究実績の概要 |
歯科用インプラントの普及に伴い，インプラント周囲炎のみならず，近年では口腔内に露出したインプラント純チタン表面からのチタンイオン溶出の問題など，長期予後に影響を与える課題が顕在化している．そこで本研究では，純チタン表面に強固なＤＬＣで被覆して物理的，化学的に保護することで，メインテナンスにおけるデブライドメントでのインプラント表面に対する粗さの増加を防ぐと共に，フッ化ナトリウムによるチタンイオンの溶出を防止することを発案した．
昨年度におけるインプラント表面に対するＤＬＣコーティング技術の確立に引き続き，今年度は昨年度に引き続き純チタン表面へのＤＬＣの適用モデルによる，コーティング面における物理的耐久性評価を実施すると共に，コーティングの耐久性の向上を図るための新たな表面処理法を開発した．インプラント材として広く利用されているTypeⅡ純チタン素材より試験片を調整し，GCIB-DLCコーティングを施す．その際に従来のコーティング層とチタン母材の間にごく薄いクロム層を介在させた．このコーティング面に対し，歯科用のスケーリング操作を想定し，自動摺動試験機を用いて掻爬試験を行ったところ，これまでのチタン母材に対する直接コーティング面と比較して耐久性の大幅な向上が認められた．この新たな方法により，周囲炎の根本的原因であるバイオフィルムの定着が長期間にわたり阻止することが可能となり，その結果として，インプラントの寿命が大幅に延長できるものと考えられる．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究により開発するインプラント・フィクスチャーにおけるカラー部，およびアバットメント表面にバイオフィルム付着抑制効果を有し，清掃処理に対する物理的耐久性を長期間の保つことのできる表面処理が為されることで，インプラント周囲炎の最大要因であるバイオフィルム付着および堆積を抑止できるので，インプラント周囲炎の発症を長期にわたり抑止できる結果，長寿命インプラントが達成される．
さらに，一般のDLCは医療器具において汚染防止の観点から各種外科手術器具を中心に利用されているものの，その厚さは数μm以上で黒色のため審美性に問題があり，しかもビッカース硬度(ＨＶ)が2000以下のため，金属器具の擦過によって損傷し剥離する恐れがある．本開発で用いるGCIB-DLCは従来の２～３倍のＨＶ5000を達成したことで，数百nmの極薄で充分な耐久性とバイオフィルム付着抑止効果を発揮し，かつ審美性を損なうこともない．
特に今年度はそれを実用化する上で最も大きな課題であった，純チタンとＤＬＣの付着強度について大幅に改善すると共に，実用的耐久性を達成することができたので，本研究のアウトカムが臨床応用に資する可能性を大きく高めることができたことから，本課題研究は，結果として極めて有意義な進展が見られたと考えられる．
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| 今後の研究の推進方策 |
昨年度において，純チタン材に適用したタフカーポンが，長期的に安定するために望ましい付着強度を得るため，最も強固な条件とされるステンレスへの適用の際の皮膜付着強度に匹敵するコーティング法を開発したことに伴い，インプラント実用モデルとして円筒状の純チタン素材に対してタフカーボンを適用した際の，ステンレススケーラーによる掻爬耐久試験による被膜剥離に対抗する強度を計測する．さらに，実際にインストールのためのスレッドが構築されたインプラント製品において，1.5～2.5mm幅が一般的なカラー部表面に対する上記の新たなタフカーボンのコーティング方を検討し，適用した際には，上記の皮膜剥離に対する強度試験を実施する．このインプラント製品のタフカーボン適用試作品を用いて，ビーグル犬おける評価試験を実施する．臼歯部を抜糸して3カ月間留置した歯牙欠損モデルの顎骨に対して，試作品のインプラントフィクスチャーをインストールした後，表面に対するプラーク付着の状況を経時的に観察する．また，従来法のインプラントフィクスチャーをコントロールとし，プラーク付着によって惹起されたインプラント周囲歯肉の炎症の有無，程度を観察する．その後安楽死させた動物の顎骨組織標本を作成し，導入した試作品インプラント周囲における炎症および骨吸収の度合いについて，コントロールと比較しながら評価する．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度までの計画は順当に達成され、必要な予算は過不足なく執行された。次年度においての研究計画において必要となることが見込まれる予算を留めおくため、最小限について次年度使用額とした。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度は動物実験が中心となることから、動物購入費用、飼育費、実験に要する材料費、薬品費、および研究遂行のため資料収集、研究打ち合わせの旅費等への使用を計画している。
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