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2015 年度 実績報告書

幹細胞の分化制御機構の解明の基盤研究 ~NF-kBからの解析~

研究課題

研究課題/領域番号 26293421
研究機関新潟大学

研究代表者

大峡 淳  新潟大学, 医歯学系, 教授 (40266169)

研究分担者 前田 健康  新潟大学, 医歯学系, 教授 (40183941)
井上 佳世子 (野澤佳世子)  新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90303130)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードNF-kB / 幹細胞ニッチ
研究実績の概要

マウス前歯幹細胞ニッチで幹細胞のマーカー分子として同定されたSox2の欠損マウスであるSox2fl/fl;K14Cre、その過剰発現マウスであるSox2-K5マウスの臼歯および前歯を検索したが、形態に著しい変化は認められなかった。この成果は、既に国際英文誌に掲載された。歯の幹細胞の機能異常は、エナメル形成異常に直結する。そのため歯の幹細胞の機能解析にエナメル形成の検索は不可欠である。そこでNF-kBのエナメル形成への影響を検索した。NF-kB活性の過剰を示すIkkb-K5マウスの前歯に、エナメル形成異常を示す色の異常が確認された。マウスの前歯は萌出し続けるために、常に上下の前歯同士による摩耗を繰り返す。そのため、エナメル形成異常による摩耗の程度を、マウスの前歯で認知する事は難しい。そこで、Ikkb-K5マウスの臼歯を観察した結果、萌出直後は正常な形態を示す臼歯が、2ヶ月後には著しい摩耗を示していた。SEMによる観察で、エナメル小柱に変化が認められ、エナメル形成の異常がエナメル芽細胞の分泌期から生じている事が推察された。しかし、Ikkb-K5マウスの分泌期のエナメル芽細胞に著しい形態変化は認められなかった。そこで、エナメル関連分子の遺伝子発現をqPCRで確認した結果、AmelogeninとKlk4の発現量に著しい変化が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

幹細胞マーカー遺伝子改変マウスとNF-kB 関連遺伝子改変マウスのcompoundマウスの作成が、母親マウスによる産仔の食殺や、交配しない期間が続いた事などにより、遅延していた。オスメス双方を新しいラインに変えて作成に当たり、第一世代が生まれ現在授乳中である。離乳次第、genotypingを行いcompoundマウスの存在を確認し、実験を開始する予定である。

今後の研究の推進方策

① compoundマウスの幹細胞ニッチにおける分子レベルでの変動の分析;幹細胞マーカー遺伝子改変マウスとNF-kB 関連遺伝子改変マウスのcompoundマウスにおける、幹細胞ニッチの形態的変化を検索する。さらにNF-kBシグナル活性の変動、各種幹細胞マーカー遺伝子の発現の変動量、各シグナル経路(Shh、Wnt、Bmp、Fgf, Notch)の変化を検索する。変動の認められた場合、その変動部位の同定も行う。上記以外の分子変化をマイクロアレイにて検索する。
② NF-kB ターゲット遺伝子の同定;前年度ならびに上記の実験結果から、NF-kB の下流と推察される分子を選出し、その分子がNF-kB シグナルの転写ターゲット遺伝子であるか否かを検討するために、選出した遺伝子のプロモーター及びエンハンサー領域におけるNF-kB binding site の同定を行う。Binding site の認められた遺伝子に関しては、さらに歯幹細胞ニッチにおけるNF-kBの結合能を確認する。
③ 遺伝子改変マウスでの形態的・分子的変化のレスキューの追求;下流遺伝子と推察された分子を、薬理学的手法などにより補正する事で、遺伝子改変マウスで引き起こる形態的・分子的変動がレスキューされるか否か検討する。 (1)器官培養アッセイによる解析 ;遺伝子改変マウスの幹細胞ニッチの器官培養に、推定下流分子のagonistもしくはantagonist やsiRNAを応用し、その形態的変化がレスキューするか否かを検索する。また、分子レベルでのレスキューの有無も検索する。さらに下流分子が改変マウスで減少する場合には、同様の器官培養に下流遺伝子のCMV プロモーターによる導入を行い、レスキューの有無の確認も併用する。
④正常マウスの前歯幹細胞ニッチ器官培養に、推定下流分子のSiRNA、 agonist、antagonist を応用し、NF-kB もしくは幹細胞遺伝子改変マウスで認められた形態的・分子的な変化が再現できるか解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度,研究室の移転等の関係で,一時的に研究が停止したため,使用することができなかった消耗品費・旅費が生じた.

次年度使用額の使用計画

昨年度中に最終移転を終え,実験は順調に進んでいる.本年度は昨年度分も合わせた実験の遂行・予算執行が可能なように,前述の推進方策を計画した.この推進方策に従って,必要な実験動物,試薬等の消耗品類を購入する.また国内学の学会における成果発表の旅費に充てる.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Expression of Sox genes in tooth development.2015

    • 著者名/発表者名
      Kawasaki K, Kawasaki M, Watanabe M, Idrus E, Nagai T, Oommen S, Maeda T, Hagiwara N, Que J, Sharpe PT, Ohazama A.
    • 雑誌名

      Int J Dev Biol

      巻: 59 ページ: 471-478

    • DOI

      10.1387/ijdb.150192ao.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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