研究課題/領域番号 |
26293422
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研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
中島 美砂子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 幹細胞再生医療研究部, 部長 (20207773)
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研究分担者 |
山本 徳則 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20182636)
村上 真史 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局等, その他 (30614531)
栗田 賢一 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (40133483)
兼子 智 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40214457)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / マルチガスインキュベータ / 微小重力培養 / 品質検査 / DNA傷害 |
研究実績の概要 |
昨年度、購入した微小重力培養装置(北川鉄工所)を用いて、培養液を変更せず、重力環境のみを改変することで、歯髄幹細胞の形質に変化が見られるかどうかを検討した。まず、最適な回転速度と播種してから微小重力培養を開始するまでの時間を検討し、外フレーム回転速度2min-1 / 内フレーム回転速度1min-1の条件が適しており、播種してから少なくとも6時間以上培養してから微小重力培養を開始する必要があることがわかった。 この条件下、ヒト若齢由来歯髄幹細胞を72時間、微小重力培養 (10-3G) と通常重力培養 (1G)した。その結果、細胞増殖能は、ほぼ同じだが、幹細胞表面抗原のうちCXCR4の陽性率が微小重力培養によって、約2.5倍上昇することがわかった。さらに、最適な条件を検討していく予定である。また、改変した tri-gas incubatorを用いて、内蔵したculture chamberを混合ガス(O2、CO2 およびN2)につなぎ、pHをHEPES bufferで調整した培地を用いて、安定した酸素分圧が得られた。その装置を用いて酸素分圧を3%、5%、および21%にて歯髄幹細胞を培養したところ、5% O2が最も細胞増殖能、遊走能、幹細胞マーカー発現、およびtrophic因子発現が高かった。また、5% O2下で培養した歯髄幹細胞secretomeが最も細胞増殖促進、遊走促進、神経分化誘導作用に優れていた。よって、5% O2 で歯髄幹細胞を培養する有効性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SCPFGEを細胞へ適用するための剥離方法は非特異的なDNA傷害を引き起こすため、その点の改善に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
改変した tri-gas incubatorを用いて安定した酸素分圧下で培養を行い、5% O2が最適な幹細胞形質を有することをすでに明らかにした。本年度はさらに、膜分取法で分取した歯髄幹細胞(MDPSCs)の最適な酸素分圧を検討する。また、微小重力培養装置による環境をさらにより低速回転の微小重力環境で培養を行い、その影響を検討する。さらに、決定した最適な酸素分圧ならびに最適な微小重力下で長期継代培養した歯髄幹細胞を、従来の培養条件の歯髄幹細胞と比較する。すなわち、細胞形態、幹細胞表面マーカー、遊走能、DNA安定性、trophic因子発現により、増殖促進ならびに幹細胞形質の維持を検討する。また、老化細胞の排除法の検討を行う。すなわち、細胞は老化すると、遊走能が低下するため、この差を利用した装置を用いた分取法を検討する。さらに、SCPFGEを細胞へ適用するため、活性酸素防御剤を用いて非特異的なDNA傷害を防止できるかどうかを検討する。それにより、SCPFGEによる歯髄幹細胞の新規品質評価法の検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
適正に使用した結果、端数が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に使用する資材、試薬等、消耗品の購入に使用する。
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