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2016 年度 実績報告書

ヒト歯髄幹細胞からのiPS細胞誘導の効率化・良質化の検討

研究課題

研究課題/領域番号 26293426
研究機関岐阜大学

研究代表者

柴田 敏之  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226172)

研究分担者 石崎 明  岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
川口 知子 (武田知子)  岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (30509815)
飯田 一規  岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30585237)
畠山 大二郎  岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (60377653)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワードヒト歯髄細胞 / iPS細胞 / 良質化
研究実績の概要

本研究では、我々が保有する豊富なヒトDPSCを用いて、iPS細胞誘導効率に差異のある細胞の比較および管理する酸素条件の違いによるiPS細胞の樹立効率の差異を利用し、「低酸素およびDLX4がiPS細胞誘導効率向上・良質化に関わる機序」を解析し、細胞初期化の基本的な知見を集積し『がん化しない良質なiPS細胞』を効率良く生み出す方策を得ることを目指している。その結果、iPS細胞誘導効率を支配する新たな因子(DLX4)は、高発現している細胞では誘導効率が高いこと、また、発現の程度に応じて正の相関性をもっていること、さらに、強制発現させると誘導効率が有意に向上し、良質化(形態の整ったコロニーの出現)も得られることが示された。また、このDLX4はヒト歯髄細胞のみならず広くiPS細胞研究に用いられているヒト皮膚線維芽細胞でも同様の作用を示すことが示された(Science report 2014)。DLX4は詳細について不明の部分も多いが、TGFβのシグナル伝達に関わることが示されて来ている。そこでTGFβ刺激下でiPS誘導を行った所、有意な誘導効率の低下を観察した。また、細胞間のsmadシグナルを調べた限りでは差は観察されなかった。これらのことから、DLX4はTGFβシグナルの他の経路(Smadシグナル以外)に関与している可能性が示唆された。さらに、低酸素条件でのiPS 細胞誘導も効率化・良質化に有益であることを見い出して来ている。また、同様に対比可能なヒト口腔がん細胞、ヒト口腔由来正常細胞におけるTGFβシグナル応答についての解析も行って来ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の期間内に明らかにすることとして、当初より以下の3項目を大目標としている。
#1: DPSCのステムネス性の相違・変化(通常の継代培養によりステムネス性が喪失され、低酸素培養では維持される)によるDLX4の消長とiPS細胞誘導効率の変化を検討し、同一個体から得た細胞でもDLX4の消失と遺伝子導入による回復が図れるのかを明確にする。#2: iPS細胞誘導・分化誘導過程に於けるDLX4の消長を観察し、DLX4の必要性を明確化する。
#3: DLX4高発現群と低発現群に於けるTGFβ刺激応答性(TGFβ受容体解析/シグナル分子解析/EMT変換解析)の相違を観察し、DLX4細胞初期化時の役割を明確にする。
このうちの#1に該当する部分が、成果としてほぼ達成され、現在、#2および#3に取り組んでいる。

今後の研究の推進方策

先に述べた、本研究の期間内に明らかにする、3大目標である・・・・#1: DPSCのステムネス性の相違・変化(通常の継代培養によりステムネス性が喪失され、低酸素培養では維持される)によるDLX4の消長とiPS細胞誘導効率の変化を検討し、同一個体から得た細胞でもDLX4の消失と遺伝子導入による回復が図れるのかを明確にする。#2: iPS細胞誘導・分化誘導過程に於けるDLX4の消長を観察し、DLX4の必要性を明確化する。#3: DLX4高発現群と低発現群に於けるTGFβ刺激応答性(TGFβ受容体解析/シグナル分子解析/EM
T変換解析)の相違を観察し、DLX4細胞初期化時の役割を明確にする。今後この内の#2、#3について計画に沿って遂行する。また、対比可能なヒト口腔がん細胞、ヒト口腔由来正常細胞におけるTGFβシグナル伝達様式についても検討を加えたいと計画している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Transforming growth factor-β1 suppresses bone morphogenetic protein-2-induced mesenchymal-epithelial transition in HSC-4 human oral squamous cell carcinoma cells via Smad1/5/9 pathway suppression.2017

    • 著者名/発表者名
      Chiba T, Ishisaki A, Kyakumoto S, Shibata T, Yamada H, Kamo M.
    • 雑誌名

      Oncol Rep.

      巻: 37 ページ: 713-720

    • DOI

      10.3892/or.2016.5338.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Enhancement of Anti-Inflammatory and Osteogenic Abilities of Mesenchymal Stem Cells via Cell-to-Cell Adhesion to Periodontal Ligament-Derived Fibroblasts.2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki K, Chosa N, Sawada S, Takizawa N, Yaegashi T, Ishisaki A.
    • 雑誌名

      Stem Cells Int.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1155/2017/3296498.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Zoledronic acid suppresses transforming growth factor-β-induced fibrogenesis by human gingival fibroblasts.2016

    • 著者名/発表者名
      Komatsu Y, Ibi M, Chosa N, Kyakumoto S, Kamo M, Shibata T, Sugiyama Y, Ishisaki A.
    • 雑誌名

      Int J Mol Med.

      巻: 38 ページ: 139-147

    • DOI

      10.3892/ijmm.2016.2582.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Transforming growth factor-β1 induces invasion ability of HSC-4 human oral squamous cell carcinoma cells through the Slug/Wnt-5b/MMP-10 signalling axis.2016

    • 著者名/発表者名
      Hino M, Kamo M, Saito D, Kyakumoto S, Shibata T, Mizuki H, Ishisaki A.
    • 雑誌名

      J Biochem.

      巻: 159 ページ: 631-640

    • DOI

      10.1093/jb/mvw007.

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] VEGF-C and TGF-β reciprocally regulate mesenchymal stem cell commitment to differentiation into lymphatic endothelial or osteoblastic phenotypes.2016

    • 著者名/発表者名
      Igarashi Y, Chosa N, Sawada S, Kondo H, Yaegashi T, Ishisaki A.
    • 雑誌名

      Int J Mol Med.

      巻: 37 ページ: 1005-1013

    • DOI

      10.3892/ijmm.2016.2502.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヒト歯髄細胞の再生医療への活用2017

    • 著者名/発表者名
      柴田 敏之
    • 学会等名
      第16回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-07 – 2017-03-09
    • 招待講演
  • [学会発表] 脊椎損傷モデルラットにおけるFGF2処理ヒト歯髄細胞移植の回復促進効果:細胞・FGF2単独投与との比較2017

    • 著者名/発表者名
      杉山健、飯田一規、川口知子、畠山大二郎、柴田敏之、福光秀文、手塚健一
    • 学会等名
      第16回日本再生医療学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-07 – 2017-03-09

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公開日: 2018-01-16  

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