現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)M2によるシュワン細胞の活性制御効果の検証:M2-CMを制作しヒトシュワン細胞株を24時間培養した。WST8 assayでシュワン細胞の増殖活性を評価した。コントロールCMと比べ2倍の有意な増殖活性の上昇を示した。Transwell migration assayでシュワン細胞の集積効果を評価した。Transwell膜を通り向けた細胞数はM2-CMがコントロール群の2倍で有意な走化活性の上昇を示した。M2-CMによるシュワン細胞の分化誘導活性化は、培養後のシュワン細胞の定量的PCRによる遺伝子発現解析によって解析した。M2-CM群では脱分化した増殖型シュワン細胞が未成熟シュワン細胞に分化するのに不可欠な遺伝子Oct-6, 成熟シュワン細胞に特異的に発現する(Krox-20, MBP, P0)遺伝子、さらに成熟型シュワン細胞の維持に不可欠な栄養因子(Bdnf, Igf-1)の発現上昇を確認した。 (2)M2による経細胞の軸索伸長効果:マウス小脳顆粒細胞を採取した。MAGなどのミエリンタンパクコートした培養皿の上では神経突起が伸びないが、M2-CMで培養すると神経突起の伸長活性が回復する。DRG神経細胞でも同様な解析結果を得た。 (3)MCP-1/sSiglec-9で誘導したM2の網羅的な性状解析 :これまでにM2誘導に伴い以下の遺伝子上昇を確認した。抗炎症性M2マーカーであるマンノースレセプターCD206, NO産生と線維化阻害酵素Ag-1, シュワン細胞の増殖分化を活性化するInsulin growth factor, Neuregulin-1. BDNF, シュワン細胞の維持を促すVEGF. シュワン細胞増殖因子CNTF, HGF. 解析の結果、MCP-1/sSiglec-9で誘導したM2はシュワン細胞の増殖、分化、集積を促す因子を多く発現することが明らかとなった。
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