研究課題/領域番号 |
26293428
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
志茂 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40362991)
|
研究分担者 |
吉岡 徳枝 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50362984)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ソニックヘッジホッグ / 口腔扁平上皮癌 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
下顎歯肉癌顎骨切除標本を用い,ソニックヘッジホッグ(SHH)シグナルの局在を明らかにしたところ,正常下顎歯肉ではSHHおよび,SHH受容体Patchedおよびヘッジホッグシグナル分子Gli-2は発現しないが,扁平上皮癌に移行するに従い,癌細胞にSHH, Patched, Gli-2の発現を認めることが明らかとなった。骨髄に浸潤した扁平上皮癌微小環境を調べると,SHHは口腔扁平上皮癌から高産生され,PatchedおよびGli-2は破骨細胞および破骨細胞前駆細胞に発現することが明らかとなった。SHH蛋白質を破骨細胞前駆細胞に添加すると,Receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand (RANKL)存在下で酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)陽性核細胞数ならびにDentin slice上での破骨細胞吸収能の亢進を認めることが明らかとなっていたため,RAW264.7細胞および骨髄細胞から単離したCD11b陽性細胞にSHHを直接添加すると,RANKL添加によるpERKおよびp38 MAPKのリン酸化の一過的な促進がSHH添加でこれらのリン酸化が持続することが明らかとなった。SHHが破骨細胞前駆細胞に与える直接的な影響を調べるためにSHHアゴニストをRAW264.7細胞に添加し,マイクロアレイ解析を行いGeneSpring GX v.13 (AgilentTechnologies)を用いて解析した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常下顎歯肉ではSHHシグナルは関与しないが,癌へ移行するとヘッジホッグシグナルは癌細胞に関与し,癌顎骨破壊微小環境においては,SHHが破骨細胞前駆細胞分化および活性化に関与することが明らかとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
マイクロアレイ解析で明らかとなった新たなシグナル分子の癌顎骨破壊微小環境における発現ならびに役割を明らかとし,それらを制御した治療への展開をめざす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
H27に当初計画よりも進展があったため,H28年度に実施予定であった,ヘッジホッグバイオマーカーとしての役割の一部をH27年度中に実施するため前倒し請求を行った。しかしながら,前倒し請求を行った時点での研究の進展が,当初の見積もりよりもやや遅れているため,H27年度の予算をH28年度も継続してヘッジホッグシグナル分子の機能解析にあてる必要性があり,次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
ヘッジホッグ関連シグナル分子シグナルの局在および機能解析を行う。
|