研究課題
これまでの研究から口腔癌細胞ではソニックヘッジホッグ(SHH)を高産生し,その受容体は顎骨骨破壊部に存在する破骨細胞前駆細胞ならびに破骨細胞に発現することが明らかになってきた。SHHの破骨細胞における制御メカニズムを明らかにするため,破骨細胞前駆細胞にSHHアゴニストを添加し,マイクロアレイ解析GeneSpringで得られたデータを用いパスウエイ解析を行うと,Odorant GPCRs,GPCR2 ClassA Rhodopsin-like,Non-Odorant GPCRsの3つのパスウエイが上位を占め,その中で最も上昇するtachykinin receptor3 (TACR3)に着目した。in vitroでRAW264.7細胞,骨髄から単離したCD11b陽性細胞それぞれを,SHHまたはSAGで刺激するとTACR3の有意は上昇がReal time RT-PCRにて明らかとなった。SHH発現と同様に正常口腔粘膜上皮にTACR3の発現は認めなかったが,細胞異形の増加に伴いTACR3の発現が増大した。下顎歯肉癌顎骨浸潤部の腫瘍細胞は,非顎骨浸潤腫瘍細胞と比較し,有意なNK-3Rの発現亢進を認めた。一方,TACR3のリガンドNeurokinin B (NKB)は腫瘍細胞では発現を認めなかったが,下顎骨中に存在する下歯槽神経でその発現を認めた。またNKBを口腔扁平上皮癌細胞株HSC2細胞に添加すると,増殖能,運動能および遊走能の亢進,Akt,mTORのリン酸化の亢進を認めた。さらにTACR3アンタゴニストSB222200投与群では,軟X線による脛骨破壊部の有意な抑制と腫瘍細胞におけるKi-67の発現低下が認められた。これらの結果から口腔扁平上皮癌の増殖・浸潤にSHH-TACR3シグナルが関与し,特に顎骨浸潤部でそのシグナルの関与が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.jsbmr.jp/1st_author/196_tshimo.html