研究課題
器官の形態形成機構を解明する目的で、マウスの歯胚や唾液腺の器官形成モデルを用いて、関連分子群の同定とその機能解析を進めてきた。歯の形態形成においては、歯胚の横幅を決定する因子として、p50やNIKの欠損マウスを用いた解析を行ってきたが、これら分子がshhやWnt7bの細胞内発現に関与していることを前年度明らかにした。そこで、p50やNIKシグナルを含むNF-kBカスケードの中で、どのような分子制御によりshhやwnut7bの発現を制御しているかを、各種遺伝子欠損マウス由来細胞を用いて検討した。その中で、p50やNIKの単独欠損細胞においては、shhやWnt7bの蛋白レベルでの発現に大きな影響は及ぼさなかったが、RelA単独欠損細胞において、p50およびNIKの両者を欠損した細胞と同様にshhおよびWnt7bの発現に大きく関与していることが明らかとなった。このことから、NF-kB経路におけるshhおよびWnt7bの発現制御に関して、新たな分子機構を見出すことができた。また、歯の大きさを決定するHippo関連分子の解析においては、これまでMst1/2が歯原性上皮細胞の細胞増殖を制御していることを明らかにしてきた。その中で細胞内シグナル分子のERK1/2と直接結合することを見出した。そこで、NT-4やGDF5などのエナメル芽細胞分化に関わる増殖因子におけるERK1/2の活性化に、ERK1/2が関与するかを検討した結果、何れの増殖因子刺激においても、Mst1/2の存在がエナメル基質関連分子群の発現に大きく関与し促進することを見出した。これらの結果を応用することで、歯原性上皮細胞からエナメル芽細胞分化促進を人為的にかつ効率的に行なえる可能性が示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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