研究課題/領域番号 |
26293437
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
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研究分担者 |
森崎 隆幸 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (30174410)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60452447)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70239490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周医学 / 細胞外基質 / 疾患モデル |
研究実績の概要 |
1)実験的歯周炎モデルマウスの解析:Porphyromonas gingivalis(P.g.)バイオフィルムを付着させた絹糸、あるいは無処理の絹糸をPLAP-1欠損マウスの上顎または下顎の大臼歯に結紮し、実験的歯周炎を誘導した。同炎症罹患部のマイクロCT解析および病理組織学的解析を行い、野性型マウスと比較検討した。さらに、P.g.をPLAP-1欠損マウス口腔内に長期間塗布することにより、慢性歯周炎を誘導し、同炎症罹患部のマイクロCT解析、病理組織学的解析、および血液の生化学的解析を行い、野性型マウスと比較検討した。 2)全身疾患モデルマウスの解析:i)大動脈疾患モデルマウスの解析:TGF-b受容体遺伝子変異のノックイン(KI)マウスにおいて、大動脈疾患の発症について解析した。ヘテロKIマウス同士の交配から作出されたマウスの遺伝子型を解析したところ、ホモKIマウスは、全く存在しないことから、ホモTGF-b受容体遺伝子変異は、胎生期の致死性を示すことが明らかとなった。ii)肥満モデルの解析:PLAP-1欠損マウスに高脂肪食を4ヶ月間与えることにより、肥満モデルを構築した。経日的に体重測定、グルコース負荷試験、インスリン負荷試験を行ったところ、対照群の野性型マウスと比較して、PLAP-1欠損マウスにおいては、体重増加およびインスリン抵抗性が緩和されることが明らかとなった。さらに、同マウスの脂肪組織における炎症マーカー発現を解析した。 3)in vitro細胞機能の解析:マウス前脂肪細胞株3T3-L1を用いて、脂肪細胞分化過程におけるPLAP-1の発現パターンを遺伝子解析した。さらに、同遺伝子のRNAiによる抑制実験を行った。TGF-b受容体遺伝子変異のKIマウスから、胎児由来未分化間葉系線維芽細胞を樹立して、同細胞のTGF-bに対する反応性を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患モデルを用いたin vivoおよびin vitroでの解析が計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)前年度からの継続として、ECM遺伝子改変マウスにおいて絹糸結紮誘導性の実験的歯周炎を誘導し、経日的にマイクロCT撮影を行い、画像分析による歯槽骨吸収の定量性解析を行う。さらに、炎症歯周組織の病理組織切片を作製し、病理組織学的解析を行うことで、ECM遺伝子の異常が歯周炎の発症・進行に及ぼす影響を明らかとする。さらに、歯周組織にP.g.菌を長期間塗布するマウス歯周炎モデルを適応する。 2)前年度からの継続として、野生型マウスおよび各ECM遺伝子改変マウスに対して、高脂肪食を4ヶ月間与えることで肥満病態モデルを構築する。ECM遺伝子の異常が、肥満病態に及ぼす影響を明らかにする。さらに、内臓脂肪組織を採取し、病理組織学的に解析することで、脂肪組織の分化増殖および炎症性細胞の組織浸潤を比較検討する。各ECM改変マウスについては、複数の施設での繁殖・系統維持を行うことでフェイルセーフ機構を構築する。 3)TGFBR1KIマウスのin vivo表現型解析(歯周炎および大動脈疾患)、および胎児由来線維芽細胞を用いた細胞機能解析を進めることで、TGF-bの歯周組織および全身組織での機能を詳細に解明していく。 4)ECM遺伝子改変マウスを用いた全身疾患モデルにおいて、実験的歯周炎を誘導する。歯周炎惹起前後の歯周組織および標的臓器の病理組織解析、血清生化学解析、自然炎症反応に関する遺伝子・タンパク発現解析を行うことにより、歯周病が全身疾患へ与える影響、また全身疾患が歯周病へ与える影響についての相互作用を解明していく。 5)絹糸結紮誘導性の歯周炎モデルにおいて、結紮した絹糸を除去し歯周組織を洗浄することで、歯周組織の破壊が改善することを確認している。そこで、上記4)のモデルマウスにおいて、結紮した絹糸を除去し歯周組織を洗浄することで、歯周炎を改善させる介入試験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養用のプラスティック器具の購入費用として計画していたが、当該の細胞培養実験を次年度へ延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の細胞培養用プラスティック器具の購入費用として使用する計画である。
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