研究課題/領域番号 |
26293446
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本田 育美 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273204)
|
研究分担者 |
山田 純生 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80359752)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 看護学 / 高齢者 / フットケア / 身体活動 / 姿勢制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、後期高齢者に提供される‘足趾ケア’の身体的効果を、足趾の形状ほか、機能性の向上といった運動力学の評価とともに、転倒予防という視点から日常での生活活動の量および質に関する側面を加え解き明かしていくことである。そこで、平成26年度では、①後期高齢者の歩行・起立動作・姿勢制御の評価および日常生活活動として計測可能な介入法・評価法の検討と、②在宅後期高齢者を対象とした身体機能・足部状態と転倒不安との関連についての横断的検討(ベースライン評価)を計画として挙げた。
《測定項目・計測方法の検討》 姿勢制御の評価指標として足趾筋力(牽引力)の計測可能であるか否か、座高面が調整可能な市販椅子を用いて検討を行った。テスト計測において高齢者での測定可能と判断でき、今回の評価指標として加えていくこととなった。一方、歩行時あるいは姿勢制御時の視線(眼球運動)について計測方法の検討を行ったが、評価指標としての確定までに至らなかったため、次年度に再度検討していくこととなった。
《身体機能・足部状態と転倒不安のベースライン評価》 2015年1月時点までにおいて、在宅後期高齢者 217名〔男性57名(26.3%),年齢80.0±5.9歳,BMI 22.3±3.10,MMSE 28.1±2.19点,転倒歴あり63名(29.0%),独居101名(46.5%)〕の測定を行った。身体機能として、FRT 34.3±5.58cm,10m歩行時間 8.15±1.92秒,握力(右) 22.5±6.94Kg,足趾筋力(右) 8.59±4.14Kg,1日活動量6,289±3,198歩であった。また、転倒不安では、FES-I 33.5±10.41点,身体活動SE 27.7±7.89点であった。収集データにおいては、引き続き解析を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画では、①後期高齢者の歩行・起立動作・姿勢制御の評価および日常生活活動として計測可能な介入法・評価法を検討した上で、② 在宅後期高齢者を対象とした身体機能・足部状態と転倒不安に関するベースライン評価データ収集の着手の段階までを挙げた。 評価指標としての視線(眼球運動)の測定方法については決定にまで至らず引き続き検討していくこととなったが、その他の指標については、足趾機能ならびに転倒不安の側面も含めた測定項目を確定し、ベースライン評価となるデータ収集に取り組むことができ、200名余りの対象の計測を実施することができた。データ解析については完了していないが、年度当初に掲げた計画どおり、遂行できていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度に収集できたデータの分析として、ベースライン評価としての一般状態・身体機能および、足の状態と生活機能としての日常生活活動状況についての評価を行っていく。また、転倒不安のある人の身体的特徴と足状態との関連について検討を行う。平成26年度の成果については、学会発表等を行っていく。 また平成27年度は、前年度に引き続き在宅後期高齢者のベースライン評価となるデータ収集に取り組むともに、次なる段階である在宅後期高齢者を対象とした足趾ケアプログラム介入における、歩行・起立動作と姿勢制御能の変化の検討も予定している。前年度に検討課題として残っている評価指標の確定を行うとともに、足ケア介入の具体的内容を決定した上で、足ケア介入に着手していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
公募申請時に予定していた機器を使用するにあたり、計測対象となる高齢者への安全性と時間的負担度などの再度検討した結果、アナログ出力でのデータ収集法を適用することが望ましいと判断され、購入機器を変更することとなった。さらに、歩行・姿勢制御を評価していくための視線(眼球運動)計測方法を検討したが、確定までに至らず引き続き検討することとなったため、それに伴い計測機器の購入を先延ばしするにした。これらにより、平成26年度に予定していた費用を次年度に繰り越すこととなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度から課題として残る姿勢制御の評価法を確定していくため、計測のための機器購入を予定している。さらに姿勢制御に関するデータ収集も予定しているため計測補助の謝金のほか、研究成果の発表のための旅費に使用する事を予定している。
|