研究課題/領域番号 |
26293452
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
折山 早苗 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (20457203)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 交代制勤務 / 看護師 / 16時間夜勤 / 眠気 / 疲労感 / 作業効率 |
研究実績の概要 |
本研究は、16時間夜勤に従事する看護師を対象として、長時間夜勤に伴う疲労構造を解明し、看護現場に適応可能な健康プログラムの開発を目指している。 H26年度は、20歳代の成人女性12人を対象として、看護師の16時間夜勤をシュミレーションし、仮眠効果を検証した。仮眠条件は、90分間と30分間の仮眠を組み合わせた4条件を設定した。H27年度は、眠気や疲労感など主観的評価について解析を行い、H28年度は、睡眠の質および作業効率について解析を行った。睡眠については、22:30-00:00の仮眠と00:30-02:00の仮眠の2条件では、00:30-02:00の仮眠が睡眠時間は長かったが、睡眠の質は2条件で差を認めなかった。2度目の仮眠は03:30-04:00あるいは04:30-05:00を設定したが、睡眠時間も睡眠の質も同様であった。視覚反応時間(PVT)は、いずれの条件も90分間と30分間の2回仮眠をとることで、仮眠をとらない場合よりも、反応時間は短く、作業効率は良かった。一方、計算作業については、視覚反応時間と同様に、仮眠をとった場合は仮眠をとらない場合と比べて成績は良かった。特に、00:30-02:00と04:30-05:00に仮眠をとったグループは、22:30-00:00と04:30-05:00に仮眠をとったグループよりも06:00-09:00は成績が良かった。09:00の仕事終了まで作業効率を良くするためには、00:00以降に仮眠をとった方が良いことが明らかとなった。この結果については、論文を作成し投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、臨床での活用に向けたプログラム開発に着手する予定であったが、解析を進めていく中で、新たな知見を得ることができた。この知見の一部については、既に論文に仕上げ投稿したところであり、次年度には国際学会にて発表予定である。今後は、この知見を基に、既に収集している異なる仮眠条件のデータと比較することで、より実現可能なプログラム開発が可能になると思われる。 以上より、「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果を基に、仮眠時間の持続効果を多角的に確認していく予定である。また、臨床看護師の疲労については、既に収集している12時間夜勤と16時間夜勤の看護師の自律神経系のデータを詳細に解析し、疲労構造を明らかにする予定である。 また、これまでの結果を国際学会で発表し、和文、英文にて国内外に研究成果を発表するために研究論文を執筆し投稿予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
夜勤時の看護師の自律神経系の変化を測定する予定であったが、解析結果によっては大きく計画を変更する可能性もあるため、実際に測定に至らなかった。その為、心電図1台と被験者への謝金ならびに旅費について余剰金が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、英語論文を更に執筆する予定であるため、英文校正費が必要である。また、プログラムを開発するにあたり、被験者への謝金、交通費が必要である。自律神経系の測定のために、心電図計を購入予定である。更に、長期の睡眠状況を把握するため、睡眠計も必要であるため、購入費用を計上している。
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