研究課題/領域番号 |
26293462
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
内田 雅子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (60326494)
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研究分担者 |
黒江 ゆり子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授 (40295712)
木下 幸代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (00095952)
小長谷 百絵 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (10269293)
伊波 早苗 滋賀医科大学, 医学部, その他 (30437123)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護学 / 臨床看護学 / 慢性病看護学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究者らのこれまでの成果を踏まえて、実践知を明らかにする事例研究法を再構築するため理論研究、比較研究、実践研究の3つを機軸に慢性看護実践における事例研究方法論を再構築することである。 理論研究は、文献調査により対人援助分野における研究目的と事例研究法とそのプロセス、及び評価基準の特徴について検討した。看護実践に関する事例研究法を詳細に解説した文書が少ないことから臨床心理学や教育学における文献調査を中心に行った。これらの文献から論文の評価基準を改良するための新たな知見が得られ、これらを整理している段階である。 比較研究は、実践家のための実用的な事例研究方法論を考案することを目的として、ワークショップ参加者を対象に看護実践におけると事例研究の経験や意識についてアンケート調査を実施した。また、実践家は研究者と異なる研究プロセスをたどるため倫理的課題への対応が難しいことから、国内外・他分野における事例研究の課題と対策についての専門家への聞き取り調査の計画を立案し、倫理委員会へ提出する段階である。さらに次年度のワークショップに向けて他分野の専門家を講師とする招聘講演を企画した。 実践研究は、事例研究を推進する組織的方策の検討を目的として、事例研究法、及び質的研究法の支援方法について、資料収集ならびに専門家と意見交換を行なった。事例研究会プログラム案、及び(仮称)ファシリテーター養成プログラム案を検討するにあたり、事例研究プロセスにおける効果的な事例検討会運営と研究支援の方法を明らかにするための追加研究の必要が生じたことから、新たに研究計画を立案し倫理委員会へ提出する段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度は、研究者の一部に所属先の異動があったこと、また研究者らが遠隔で研究を進めるにあたって、研究環境の調整にかなりの時間を要した。また、実践班は、看護実践家の現状と課題の検討を行ったところ、研究計画の見直しが必要となり、新たに研究計画を追加することになった。以上のことから、本年度の研究課題を一部修正したことも含め、当初の研究計画の達成度には遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
理論研究と比較研究は、計画内容が重複する部分が多いため研究者の担当範囲が不明瞭な部分があることから、分担内容と範囲を明確にし、かつ研究者らが密接に連携できるよう研究環境の調整を行う必要がある。 また理論研究と比較研究の研究成果が実践研究のプログラム立案に影響するため、これらの進捗状況を相互にモニタリングし、目標達成に向けた分担内容の調整などを行う必要がある。 実践研究は、次年度に新たな研究計画を追加し実施する必要がある。まずは実際の事例研究会を立ち上げ、データ収集をしていくため、事例研究会運営の詳細を検討していくことが必要である。そこでは次の4つの課題、すなわち、事例研究会の運営、データの厚みへの方略、研究課題の抽出や分析の視点の明確化のプロセス、事例研究の客観性を高める方略について焦点化し、データ収集と分析を行い課題と方略を抽出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、国内外講師の招聘講演開催、調査実施、事例研究会開催、ファシリテーター養成プログラム開催、ホームページ制作などの広報などが遅れ、これらの予算が執行できなかったことが主な要因と考える。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、上記予定を実施することにより、予算を使用できると考えている。
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