研究課題/領域番号 |
26293465
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
飯岡 由紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (40275318)
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研究分担者 |
高松 潔 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30206875)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん看護学 / 看護外来 / アウトカム / 評価指標 |
研究実績の概要 |
1.がん看護外来のアウトカム評価に関する文献検討 日本語の主要な検索エンジンである医中誌による検索では採用文献はなかった。PubMedによる検索では、当初の検索式で990件抽出されたが、本研究とは関連のない研究が多かった。検索式を再検討し、「nurse clinic」に限定して抽出された92件を精読中である。 2.日本のがん看護外来の実態調査 がん看護外来を積極的に展開している施設から、その実態の概要を明らかにすることを目的に調査研究を立案した。この研究は、今後予定している全国調査で活用する質問紙の設問項目作成の基盤となる研究であり、予備的研究として位置づけた。対象は、病院ホームページや先行文献などにより、がん看護外来を積極的に実施・運営している施設を抽出し、研究協力が得られた8施設を研究協力施設とした。研究協力施設のがん看護外来の担当看護師8名、がん看護外来と協働する機会が多い医師8名、看護管理者(看護部長など)8名を対象者とし、合計24名とした。調査方法は、半構造化面接を採用した。外来担当看護師へは、主なケア内容、担うべき役割、他職種との連携、広報活動、受診までの経過、現状の問題と今後の課題を調査する。医師へは、看護外来への期待、連携状況を調査し、看護管理者へは看護外来を設立した経緯、看護外来への期待、運営状況(経営状況も含め)、今後の課題を調査する。以上の研究計画は倫理審査を経て、データ収集を開始している。現在まで収集できた概要としては、担当看護師は、場所を固定せず、病棟・外来・治療室・待合室など柔軟に相談活動を行っていた。主なケア内容は、治療方法や療養場所や療養生活に関する相談、多職種との調整であった。看護外来の有効性の評価をしている施設はなかった。今後は、データ収集を進めて、概要をまとめ、質問紙を開発することが課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
がん看護外来は、近年発展しているため施設により名称が多様であり、研究課題の表記や調査内容の検討に時間を要した。更に、研究倫理審査においても、医師の外来との混乱などのため審査が難航し、時間を要した。しかし、研究計画段階で十分な検討が行えたことや、データ収集を開始できている状況を踏まえると、今後は順調に進展すると予測できる。
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今後の研究の推進方策 |
<平成27年度の推進内容> 現在データ収集中である日本のがん看護外来の実態の概要を明らかにするインタビュー調査を完遂する。この予備的研究による結果を踏まえ、全国のがん看護外来の実態調査を行う。この実態調査は、質問紙を用いた横断調査とする。この調査により、日本のがん看護外来の実態が把握でき、主なケア内容や看護師の役割が明確となる。対象は、がん診療拠点病院から200施設を層化サンプリングを用いて抽出する。抽出した200施設の看護部総括者宛てに質問紙を郵送し、がん看護外来の担当看護師に配布していただくよう依頼する。回答はがん看護外来担当看護師が行い、質問紙は研究代表者へ郵送で返信する。研究代表者所属施設の研究倫理審査委員会による承認を得てデータ収集を行う。 <平成28年度の推進内容> 更に、がん看護外来の利用者である患者および家族へ質問紙を用いた横断調査を行う。この調査では、現在行っているインタビュー調査の調査協力施設の中で、最も活発に事業を展開している1施設を選択し、その施設のがん看護外来を利用した患者・家族50名程度を対象者とする。データ収集内容は、がん看護外来におけるケアに対する満足度、有効と感じたケア内容、担当看護師に期待する役割、看護師から受けたい医療サービスなどとする。この研究においても研究代表者所属施設の研究倫理審査委員会による承認を得てデータ収集を行う。以上の調査結果を基盤として、がん看護外来の構造(先行要因、要素、アウトカムを導き出す)を構築する。その構造を基に、がん看護外来のアウトカム評価指標を開発する。 <平成29年度の推進内容> 開発したアウトカム評価指標の実用可能性と容認性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外における看護外来の有効性評価の実情を把握するために、文献検討を完遂する。 また、現在データ収集中である日本のがん看護外来の実態の概要を明らかにするインタビュー調査を完遂する必要がある。この予備研究は後の全国のがん看護外来の実態調査の質問紙開発の基盤となるための重要な調査である。この研究のデータ収集を完遂し、分析を行い、成果をまとめる必要がある。 更に、全国のがん看護外来を対象とし、その実態を明らかにする横断調査を行う必要がある。上記の調査は、がん看護外来を発展的に行う施設を対象としており、いわゆる理想的な活動内容である。しかし、日本全体の実態を踏まえたがん看護外来のアウトカム指標を開発することが本研究の目的である。従って、この全国調査の重要性は高く、27年度に実施すべき事項と考える。
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次年度使用額の使用計画 |
文献検討では、文献複写費が計上されることと、膨大な資料の整理のためのアルバイトへの謝金が必要となる。現在データ収集中である日本のがん看護外来の実態の概要を明らかにするインタビュー調査では、データ収集を完遂するため、交通費および打ち合わせ費用、対象者への謝金、収集したデータを逐語録にする作業料などを計上している。 その後に予定している全国のがん看護外来の実態調査では、質問紙開発に伴い量的研究者を含めた会議費、質問紙印刷費、調査協力施設へ質問紙の郵送費などを計上している。更には、データ入力やデータ整理のためのアルバイトへの謝金を計上している。
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