研究課題/領域番号 |
26293468
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
坂上 明子 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (80266626)
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研究分担者 |
森 恵美 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (10230062)
小澤 治美 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (40334180)
青木 恭子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (60714110)
小坂 麻衣 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (40735429)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不妊 / 高度生殖医療 / 母親役割 / 妊娠 / 看護 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、研究者らの先行研究として実施した「ARTを受けた妊婦の母親役割獲得過程を促す看護介入プログラムの開発と実用化」(平成20~22年度科学研究費補助金基盤研究(B)(一般)の看護介入場面において実施された看護と対象者の反応を、当該研究に参加していなかった母性看護学の研究者とともに再分析した。特に量的分析において、妊娠初期から末期にかけて不安が増強する傾向にあった「産後の生活」と「家族との関係」に関連する内容について逐語録から抽出し、看護目標の達成状況から看護介入プログラムを質的に評価した。 その結果、本介入プログラムでは、【母親となる女性への援助】として、妊娠中の情報や知識を獲得する過程に働きかける援助や胎児愛着に関して働きかける援助は十分に行われていたが、母親像形成のためのモデル探索行動を促す援助や、産後の生活やわが子の育児を現実的に想像するための援助は不十分であることが明らかとなった。また、【高度生殖医療を受けた妊婦の母親役割獲得過程】への影響要因である「不妊・治療経験やその受け止め」に対して実施した不妊・治療経験の想起・統合を促す援助において、その体験、特に夫や家族との関係に関する想起や、想起した経験を統合する介入が不十分であることがあきらかとなった。さらに【家族成員間の関係性への援助】においても、夫とわが子との関係に関する感情表出を促したり、父親役割についての情報を提示することは行われていたが、夫婦や家族の関係性への介入はほとんど行われていなかった。これらから、本介入プログラムの介入内容と実施する看護職者への研修会に関する課題が明らかとなった。これらを踏まえて、看護介入プログラムの改良とポートフォリオの改訂につなげるために、高度生殖医療を受けた妊婦の母親役割獲得か知恵を円滑に促す看護介入に関連する先行研究のシステマティックレビューを開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、研究者らが行った「高度生殖医療を受けた妊婦の母親役割獲得を促す看護介入プログラムの開発と実用化」においてデータ収集した、高度生殖医療後の妊婦への介入場面の逐語録を再分析し、これまでに作成した看護介入プログラムの課題を見出し、それに基づいてシステマティックレビューを開始し、平成27年度も引き続きシステマティックレビューを行うこととしていた。しかし、再分析を担当する予定であった研究者1名が産前産後休業に入ったため、年間を通してほとんど研究参加ができなかった。また、予定していた研究員の雇用が出来なかった。そのため、分担研究者のみで分析したので時間を要し、再分析は終了しなかった。しかし、終了している分析結果をもとに、システマティックレビューは開始している。
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今後の研究の推進方策 |
【研究1の継続】平成27年度以降は、研究を推進するための研究協力者を3名増員できたので、「ARTを受けた妊婦の母親役割獲得過程を促す看護介入プログラムの開発と実用化」の看護介入場面において実施された看護と対象者の反応について、「産後の生活」と「家族関係」以外の不安についても、再分析を継続し、さらに詳細な看護介入プログラムの課題と看護介入を実践する看護職者への研修会の課題を明確にする。 【研究2の継続】システマティックレビューを継続し、それに基づいて、看護介入プログラムの改良及びポートフォリオの改訂を行う。不妊看護の実践者及び研究者による専門家会議を開催し、看護介入プログラムとポートフォリオの内容妥当性や臨床応用性について意見を聴取する。それによって、さらに看護介入プログラムとポートフォリオを修正する。 【研究3の準備】研究1の結果に基づいて、看護職者に対する研修会の内容と方法を再検討し、研修会を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
再分析の作業に、研究員を雇用する予定であったが、研究員の雇用が出来なかった。そのため、研究員雇用のための人件費と、これらの研究員が最新知識について情報収集してくるために使用する予定であった学術集会参加費及び旅費が使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、研究を推進するための技術補佐員を1名雇用する。また、研究協力者を3名確保したため、分担研究者及び研究協力者とともに、すでに収集している看護介入場面の逐語録の再分析とシステマティックレビューをさらにすすめる。高度生殖医療に関連した学術集会などに積極的に参加し、高度生殖医療後の妊婦の母親役割獲得に関する最新知識を収集するとともに、看護介入プログラムの研修会参加者を確保するための広報活動を行う。
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