研究実績の概要 |
1.性行動がより活発化する青年期発達障害者の性行動の実態を明らかにすることに対しては,1)青年期発達障がい者男女各5名に対して,独自に開発した質問紙調査紙をもとにインタビュー調査し,現在分析中である.2)青年期発達障がい者にかかわる福祉施設支援者の障がい者の性にかかわる認識を調査し,福祉施設職員は障害者の性に対して肯定的認識と否定的認識をもっていた.肯定的認識である「自慰行為の肯定」には専門学歴と性の責任性,「性的権利」には職種と障害者の性の学習経験,接触経験,性の責任性が関連因子であることが明らかとなった.また,否定的認識である「性的関心への先入観」には一般学歴と性行動への対応経験,接触経験,性的寛容さが,「性行動の制限」と「性の衝動性」には一般学歴が関連因子であることが明らかになった. 障害者の性に関わるうえでの学習要望では,「問題となる性行動に対する対処法」が最も多く,また,支援者自身だけでなく,「保護者に対する性教育」への要望も高かった.この結果について,論文投稿準備中である. 2.青年期発達障害者の性に関する対人教育プログラムの開発では,1)職業訓練を受けている発達障がい者を対象にプログラムを検討し,実践した.2)月経に関するトラブルの多さが調査結果から確認できたため,女性訓練生を対象にマンスリープログラムを開発・実践し,現在中間評価を行っている. 3.プログラムの汎用化については,今年度中にワークブック作成予定である. 4. 発達障害児・者の性発達・支援に専門家のネットワークを構築することに関しては,研修会を4回開催し,研究の成果,研修会の内容をHPで発信中である(http://www.nagasaki-sexuality.org/).
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