研究課題/領域番号 |
26293474
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研究機関 | 長野県看護大学 |
研究代表者 |
内田 雅代 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70125938)
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研究分担者 |
竹内 幸江 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (00311902)
高橋 百合子 (大脇百合子) 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (00438178)
足立 美紀 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (10457905)
白井 史 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (30420699)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 小児がん / 入院環境 / ケア内容 / ガイドライン / 評価 |
研究実績の概要 |
1. 昨年度末に実施した小児がんの子どもの入院環境及びケア内容に関する全国調査の分析を進め、12月に開催された第14回日本小児がん看護学会において、1)小児がんの子どもの入院環境、2)小児がんんの子どもと家族のケアに関する看護師の認識ーケア46項目の実践の頻度と重要性の程度ー の2題の口頭発表を行った。さらに、同学会において「小児がん看護のケアとして重要だと考えているが実施できていないケア」に焦点を当てたワークショップを企画した。ワークショップでは『小児がん看護ケアガイドライン2012に関する調査報告』の概要を伝え、各施設の看護師が抱える困難やケアのエビデンスが不確かな現状と課題や取り組みが共有され、看護の標準化の必要性を再確認した。また、国際小児がん看護学会(ダブリン)にて、「小児がん看護ケアガイドライン2012」の評価に関するポスター発表を行った。今後、1)入院環境と、2)ケア内容の関連などを詳細に分析するとともに、これらの内容に関して論文発表を検討している。
2. 欧米における小児がんの医療・ケアの体制、研究の動向の把握に関して、10月にアイルランド、ダブリンで開催された国際小児がん学会2016 に、研究者・研究協力者 3名が参加し、各国の小児がん看護の課題に関する研究や新たな取り組みに関する知見を得、研究者間で共有した。
3. ガイドラインの改訂に向けた検討会議を実施し、上記の調査結果および研究者の臨床経験、文献検討から、新たな項目(章だて)や表現方法・内容について検討を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. ケアモデルの開発に関する調査 実施が遅れている理由としては、小児がんの子どもの治療ステージに沿った「小児がんの子どもや家族とともにケアを創造するための調査」に関して、臨床の場での実施可能な計画の策定を検討してきたが、実施可能でかつ評価のできる具体的な調査方法が見いだせていない。研究期間が少なくなってきており、別の方法も視野に入れ検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1. 今年11月に開催される第15回日本小児がん看護学会において、27年度末に調査した「小児がんの子どもへの看護において困難・課題と感じていることとそれらへの取り組み」に関する自由記述の分析結果について口頭発表を行い、参加者と意見交換をすることによって今後のガイドライン改訂への示唆を得る。さらに、同学会において、「重要だが実施できていないケア」の一つであると看護師が認識していた「小児がんの子どものきょうだいに関するワークショップ」を開催し、参加者と意見交換を行い、ケアの改善点を明らかにする。 2. ケアモデルの開発を目指した調査に関しては、引き続き研究者会議にて詳細な検討を行い、特定の場面に限局した観察・面接等に関する実施の可能性を探るとともに、専門職者のかかわりなどを中心にした別のアプローチも検討する。 3. 入院環境とケア内容の関連については、さらなる分析を実施し考察を深め、我が国の小児がん看護の課題を解明する。また、10月に開催される国際小児がん学会に参加し、ポスター発表を行うとともに、各国の先駆的な取り組みや臨床現場の工夫など、新たな知見を得る。 4. 小児がん看護ケアガイドラインの改訂として、これまでの調査結果を研究者間で共有し、小児がん看護の現状と課題をさらに協議し、「ガイドライン2012」に不足している項目、及び内容や表現方法(具体例を盛り込む等)に関して検討を行う。「ガイドライン2018」への改訂に関しては全体会議にて、各章の執筆担当者を決め、作成を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 研究者の全体会議を学会や他の会議等に合わせて実施したことから、会議費の支出が少なかったこと、また、下記 2.の理由により全体的な計画の遅れが生じ、当初の予定より全体会議の開催自体が少なかったこと等による。 2. 「治療ステージに沿った小児がんの子どもと家族のケア」に関する調査実施計画の検討が進まず、調査を先送りした形になったため次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
1. 遅れている調査に関しては、その目的に適う別の方法も含め、早急に検討し実施する。これまでの調査の分析途上の内容に関して、国内学会・国際学会での研究発表による意見交換・情報共有等を行い、「ガイドライン」の改訂に向けた検討を担当グループから研究者全体に広げ、より具体的で、エビデンスに基づいた実践に活用できるものを作成する。 2.「改訂したガイドライン」の内容を基に、小児がんの臨床現場で求められている小児がん看護の専門性をもった看護師の育成に関する資料を作成し、臨床看護師の専門教育に貢献するとともに、改訂ガイドラインの普及と合わせて我が国の小児がん看護の標準化を目指す。
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