研究課題/領域番号 |
26293476
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉本 照子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 教授 (40294988)
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研究分担者 |
長江 弘子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 特任教授 (10265770)
辻村 真由子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 講師 (30514252)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 新人 / 学習支援 / 自己決定的学習 / ツール開発 |
研究実績の概要 |
研究の目的は、新人訪問看護師(新人)の日々の実践にもとづく自己決定的学習と事業所内の学習支援を促すための学習支援ツールを開発し検証することである。26年度の目標は、ツールの枠組みの決定と試案の作成であった。意識的に学習環境を活用・調整し、実践力を高めてきた訪問看護師(入職後2年以上、入職前の訪問看護経験なし)3人、事業所内学習支援者1人および管理者1人を対象に、新人期の学習課題の変化、課題達成のために有効であった学習方法および支援方法について、個人面接調査を行った。新人期の学習課題は、訪問看護に関する一定の知識・技術の習得、個別的な知識・技術の適用、利用者の真意をとらえる技術の習得、医師や病院との連携方法等であった。有効であった学習方法は、ケアの根拠を含めた看護関連図や手順書を作成し、学習支援者に相談する、利用者とのプロセスレコードを作成し、学習支援者とともに、自分のコミュニケーションを客観的に振り返り、傾向を理解し解決方法を見出す、研修時に医師や病院の地域連携部署の看護師がもとめる情報を聴取する等であった。新人期に単独訪問における利用者からの評価等により自信を得ており、単独訪問は学習継続の動機づけ支援として有効であった。一方、学習支援者・管理者は新人の単独訪問の可否の判断に困難を感じていた。新人が責任感と自信をもとに自己決定的学習を継続するために、利用者の選定が重要であり、単独訪問の可否に関する判断基準の作成が必要であるといえる。これらの研究成果をもとに、学術集会で訪問看護師と研究者の交流集会を企画し、訪問看護師の育成に関して意見交換を行った(辻村ほか、2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献検討の遅れにより、試案の枠組みの決定が遅れた。主な理由は以下の2点である。1)当初、自己教育等を含めた既存の尺度の構成概念をもとに枠組みを作成する計画であった。しかし、既存の尺度の構成概念には、学習目標設定の考え方と具体的な方法、あるいは的確な自己評価を行うための方法等に関する概念がみられなかった。これらの概念は、訪問看護師として自律的、自己決定的に学習を継続するために必要と考えられ、研究者らの新人訪問看護師に対する学習支援の実践ではみられた。そこで、訪問看護師に対する調査をもとに質的帰納的に作成することが妥当と判断し、ツールのアイテムプールの作成を優先して進めた。2)当初、ツールのアイテムプールの作成のための調査方法として、フォーカスグループインタビューを計画していたが、構成概念を作成するためには、学習ニーズと学習方法をより具体的に収集する必要があると考え、個人面接調査法を適用した。
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今後の研究の推進方策 |
学習支援環境および入職前の看護経験の多様性を確保しながら、研究協力者を7-8名選定し、支援内容の飽和化を確認できるまで、データを収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)国内では学習支援ツールに関する情報収集が困難なため、海外出張を計画したが、出張期間が2015年度となったこと、2)学習支援ツール試案作成のための訪問看護師に対する面接調査の日程調整が困難であり、2015年度に継続実施となったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
1)2015年4月15-18日、長江がOmaha System International Conferencesに参加し、訪問看護師と情報交換を行うための旅費、通訳謝金、学会参加費として30万円、2)訪問看護師に対する個人面接調査(8人)の謝金およびテープ起こし費用の一部として、83940円を支出する。
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