研究課題/領域番号 |
26293478
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
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研究分担者 |
甘佐 京子 滋賀県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70331650)
長江 美代子 日本福祉大学, 付置研究所, 研究員 (40418869)
鈴木 大 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (30378301)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神障がい者の子ども / 支援を繋ぐ / 心理教育教材 |
研究実績の概要 |
『精神障害を持つ親とその子どもを支援に繋ぐためのアセスメントツールの作成』については、支援機関の取り組み状況を把握することを目的に、支援者の情報交換会を実施した(平成26年5月)。多機関の協働による支援を行っている先駆的機関の支援会議に参加させてもらうなど支援の繋ぎに関する視察を行ってきたが、こうした対象への支援については、個(ケース)の問題が影響されることも多く、質問紙調査では図りきれないことが予測された。そのため、調査方法を再検討し、個別に聞き取りを行うインタビュー調査で、親子の生活状況の捉え方や支援状況、支援者が感じている困難、多機関との連携などについて把握していくこととなった。 『親の障がいについて学ぶ心理教育教材の作成』については、研究者らが行ってきた研究から明らかになった子どもの思いやニーズを選択肢に含めた「子どもが求める“親の障がいについての説明”」を把握する質問紙を作成した。質問紙調査は、研究者らが作る精神障がいの親と暮らす子どもの支援を行う会のホームページ(http://oyakono-support.com)を通じて研究協力を依頼し、アンケートサイト(Survey Monkey)を使用したWebアンケートの形で実施した(平成26年12月~平成27年3月)。詳細な分析はこれから実施していくが、子どもが求める親の障がいに関する説明と心理教育プログラムに含めて欲しい内容など、子どもの立場の者が感じる率直な意見が書かれており、子どもの気持ちに即した伝達をするための重要な示唆を得たと考えている。この結果は、精神医学(看護)に関する学会で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
『親の障がいについて学ぶ心理教育教材の作成』については、質問紙を作成し調査を実施するなど、概ね、予定通りに進んでいるが、『精神障害を持つ親とその子どもの支援を繋ぐためのアセスメントツールの作成』については、当初予定していた質問紙調査では、支援等に関する状況が把握しきれないことが予測され、研究方法を再検討していたため、実際の調査には至っていない。先駆的機関の取り組みに関しても、支援を検討する会議に参加(聴講)させてもらうことはできているが、研究協力機関と研究者の関係作りが主で、データ収集を行う段階には至っていないため。
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今後の研究の推進方策 |
精神障害を持つ親とその子どもを支援に繋ぐためのアセスメントツールの作成』については、平成27年度・28年度の取り組みとして、インタビュー調査への協力を依頼し、精神障害を抱えながら子育てしている親とその子どもへの支援経験(判断や対応等)を問うインタビュー調査を実施する。得られたデータを質的に分析し、①職種ごとの状況の捉え方の特徴を抽出する。②支援が行き届いた場合と支援に繋がらなかった場合を比較して支援に繋がらない要因を明らかにする。③支援の繋ぎに関して先駆的な取り組みをしている機関の取り組み状況を見学し、上記のインタビューデータの分析結果と照らし合わせて、支援に繋ぐための各職種の役割を検討していく。 『親の障がいについて学ぶ心理教育教材の作成』については、平成26年度に実施した質問紙調査(Webアンケート)の結果を分析し、子どもが求める親の障がいに関する説明と心理教育プログラムの内容を検討していく。カナダで同様の対象に対して実施している心理教育プログラムKIDS IN CONTROL SUPPORT GROUP PROGRAMを視察し(平成27年9月の予定)、そこで行われている心理教育の内容や実施方法を参考に、日本の子どもの感じ方・生活状況に応じた心理教育プログラムの内容を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、『精神障害を持つ親とその子どもを支援に繋ぐためのアセスメントツールの作成』、『親の障がいについて学ぶ心理教育教材の作成』共に、郵送回答による質問紙調査を予定していたが、『精神障害を持つ親とその子どもを支援に繋ぐためのアセスメントツールの作成』については、調査方法を再検討し、インタビュー調査に変更したこと(平成27年度以降に実施)、『親の障がいについて学ぶ心理教育教材の作成』については、Webアンケートの方法をとったため、郵送費を必要としなくなった。先駆的機関への視察などを行ったが、実際のデータ収集は現時点では実施しておらず、研究協力者への謝金も使用していない状況にある。備品としてデスクトップパソコンを購入する予定であったが、インタビューデータ等をまた取り扱っていないこと、心理教育教材を作成する段階に至っていないことから、購入を見合わせている段階である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、同様の対象者に対して心理教育プログラムを実施し効果を得ているカナダで実施されているプログラム(KIDS IN CONTROL SUPPORT GROUP PROGRAM)を視察する予定である。現在その調整中であるが、英語でのコミュニケーションに問題がなければ、対象者に実施しているプログラムに参加することも可能と言われており、スムーズにやり取りするために通訳等を必要とすることが予測される。そのため、現時点での余剰金をカナダの視察費にあてることを予定している。
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備考 |
研究者が運営する“精神障がいの親と暮らす子どもへの支援”の会のホームページ上で、「子どもが求める親の障がいについての説明に関する調査」の結果(単純集計)を公表している。
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