研究課題/領域番号 |
26293490
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
佐藤 幹代 東海大学, 健康科学部, 講師 (00328163)
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研究分担者 |
城丸 瑞恵 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (90300053)
本間 真理 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90423780)
高橋 奈津子 聖路加国際大学, 看護学部, 助教 (10328180)
濱 雄亮 慶應義塾大学, 文学部, 講師 (60739126)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 慢性痛 / 病いの語り / 医療情報 / 医療社会学 / リハビリテーション看護 / 看護教育学 / 臨床看護学 / 地域看護学 |
研究実績の概要 |
本研究は、英国Oxford大学で質的研究調査分析手法を用いて作成された、データベースDatabase of Individual Patient Experiences(DIPEx)の知見を参考に、慢性の痛みを患う人や家族に面接調査を行い、わが国の文化、社会、保健医療福祉制度背景を踏まえた身体的・精神的・社会的苦悩の体験世界や、疼痛対処および医療者-患者・家族の相互理解のありかたを探究し、痛みがあっても生活を再構築を可能にする支援について提言していく。治療継続もしくは、6か月以上の治療経過があるが後治療を中断している慢性痛患者30~40名とその家族10名~20名を対象に、非構造化および半構造化面接を実施する。 研究計画書の策定に関して、倫理・法・ネットリスク管理の専門家より、計画の安全性、倫理的配慮について意見を求めた後、研究代表者の所属機関で倫理審査を受けた。 インタビュー担当者は、データの質を担保する目的で、すでにOxford大学で調査方法の技術を習得している、認定特定非営利活動法人(NPO)健康と病いの語りディペックス・ジャパン(DIPEx-Japan)に属する研究者より、調査方法についてリサーチトレーニングを受けてから調査に臨んだ。映像と音声をデータとするインタビュー調査を実施し、慢性の痛みをもつ本人8名(腰痛、頭痛、リウマチ、三叉神経痛ほか)、女性7名・男性1名、疼痛期間10年~25年(平均19.4年間)、その家族1名(女性)のインタビューが終了している。 引き続き研究協力者を募るために、DIPEx-Japanのホームページ(http://www.dipex-j.org/)に、本プロジェクトの取り組みを掲載した。(http://www.dipex-j.org/outline/josei_itami)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リサーチメンバーは年間を通じて、定期的な研究会議(7回開催)や、DIPEx-Japanの定例運営会議(1回/月 参加)において、メンバー同士の情報共有および、進捗に関する課題解決の場を設けることができた。さらに、頻繁なメール連絡を通じて、計画に沿って実施されるよう調整したことが効果的であった。 これ以外にも、本研究の適切な遂行のために、慢性痛の治療に従事する研究者、慢性痛の当事者などのメンバーから構成されるアドバイザリー委員(11名)を組織し、インタビュー協力者の募集や、異なる立場から見た医学的解釈や、収集したデータの分析視点、および情報の信頼性を担保することを目的にヒヤリング会議を開催し(2回、各13名参加)、加えて研究班全体会議を1回(13名参加)、札幌医科大学、近隣施設に所属する分担研究者メンバーの調整会議(1回、5名参加)を研究スタート年度に開催したことも研究推進には効果的であった。 インタビュー調査を予定通り進めるために、すでにインタビュー調査を実施したことのある研究分担者(社会学者)を1名加え、インタビュー調査を担当できる研究者を5名体制にしたことも、本研究を推進していくために効果的であった。
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今後の研究の推進方策 |
対象の多様性を確保するため、地域・年齢・性別・疾患名(疼痛の原因となった疾病)治療法などの差異に注目して、前年度に引き続き、映像と音声によるインタビュー調査を実施する。対象者が50名(上限)になるまで、DIPEx-Japanのホームページ、患者会、インターネット、マスコミ、疼痛治療学会関連イベント等で本研究の広報活動を行い協力者を募る。特に非受診者の協力を得るためは、新聞(全国・ブロック・地方紙)や全国市区町村広報誌ならびに、慢性疼痛関連の個人の掲示板なども活用する。 インタビュー調査と並行してインタビュー実施者が、質的データソフトMAXQDAを用いながら、すべてのインタビューデータをコーディングし、継続的比較分析法を用いて横断的に分析し、特徴的なトピックや問題点を抽出する。その際、必ず研究者同志でその分析過程を説明し、異なる視点からの分析や反証の可能性について検討してもらい、分析の妥当性を担保する。 今後も、定期的にリサーチャー会議やアドバイザリー委員会議を開催することと、さらにメール会議を用いて研究班全体の情報共有を通して適切な研究を遂行する。 全国に亘ってのインタビュー調査になるため、多くの時間と経費を必要とするため、効率よくインタビューを実施するために、日時やルートを調整し、研究に費やす時間を調整し調査を期間内に遂行するように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー協力者が予定人数を上回ると予測され、それに伴う国内旅費、逐語禄作成などにかかる費用を見積もり、前倒し支払い請求を行った。しかし、インタビュー協力者の居住地区別にまとめてインタビュースケジュールを調整できたことで、国内移動旅費の抑制がはかれた。また、会議開催に伴う会議室使用料などは、分担研究者所属の大学を利用したことで、費用が抑えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、インタビュー調査が順調に進展すれば、国内旅費、謝金、および逐語録作成に伴う費用が増加するため、これに充てる。 それにともない、データ分析を並行して行うため、分析の妥当性を検討するためのリサーチメンバーの会議開催旅費や、アドバイザリー委員会議、研究班会議をそれぞれ1回開催できる。それに伴い、開催費用が発生するためこれに充てる予定である。
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